既に、美術家によるアーティスト イン レジデンスは全国的に浸透しているが、ダンス イン レジデンスを全国的に広げ、ダンス作品を観るだけではなく、創ることに関わる主催者を増やすことによって、アーティストの作品制作のサポートを推進していく。
多くのアーティストの場合、作品制作における現状は十分な時間をかけられず、リハーサル場所の確保も容易でない状況が慢性化している。作品制作の一時期を居住区以外の地域に滞在して、集中して作品制作に取組める環境をつくる。そのサポート体制を全国に確立していくこと。
稼働率の低い公共ホールなどは、ホールを有益に利用することができ、且つ、地域住民とホールを結びつけるために、“ダンスアーティスト”の存在や、作品への理解を促進する機会となるなど、有効な企画となり双方にとってメリットとなる。
個人的な表現としてのダンス作品にとどまることのないよう、総合芸術としての強度を持ったダンス+アート作品制作を念頭におき、作品のコンセプト・テーマ性を掘り下げ、作品をつくる上でのカテゴリーを想定した上で、その役割を明確にし作品制作をスタートさせる。
ダンスをデザイン的にみせるのではなく、ダンスアーティスト=作家として、この同時代の観客に伝えたいことを明確に観せる作品であること。
©ohashi sho
コンテンポラリーダンスは、理解しにくく面白くないものと思われてしまっている観客の印象を払拭するため、アーティスト自身が作品に対して距離を持ち、客観的な見方をすることは必須です。レジデンス期間中に、その地域の観客やアーティストに対して、作品のプレゼンテーションや、Q&Aなどを積極的に実践していく。
公演当日まで作品を発表する機会がないと、作者の意図がどのように観客に伝わっているのか、あるいは、ほとんど伝わっていないのかを確認することができず、一方通行の作品で終ってしまうことになる。公演の数ヶ月前に途中経過を発表する機会をつくり、作者は客観的な批評に耳を傾ける習慣を身につけ、作者と観客の関係が成立する作品制作を目指す。
公演を開催する地域で出演者を募り、ダンスアーティストがその地にダンス イン レジデンスし作品制作を行っていく。これを継続していくことにより、地域住民が今まで興味を持ちにくかったダンス+アート作品への親近感が生まれ、地域の中での舞台芸術の意義や劇場の役割を再認識するきっかけとなっていくだろう。