<コンテンポラリーダンスの全国巡回と普及>を目的に「踊りに行くぜ!!」を開催してきたこの10年の間に、全国的に作品をつくる振付家やダンサーが増え、同時にコンテンポラリーダンス公演や、ワークショップなどを企画・開催する劇場や文化施設、NPOなどが各地に広がりをみせるようになりました。10年前に比べると”コンテンポラリーダンス”という言葉が少しずつ浸透し、国内におけるダンス状況は大きく変化してきたように思います。
しかし一方で、観客を満足させ次の公演があれば友人も誘って「絶対にまた見に来るぞ!」と思わせるような強度を持ったコンテンポラリーダンス作品がまだまだ数が少ない、というジレンマもここ数年感じていました。そのひとつの要因として『日本は作品を創る環境があまりにも貧弱だ』ということがあるのではと思いました。
作品を発表する場は増えてきたけれど、その核となる作品は、ほとんどの場合、経済的にも内容的にも全てにおいて、振付家だけの力に委ねられている、という現実があります。そのために結果的に作品に集中する時間が十分に取れない、満足できるまでのリハーサル時間が取れない、などの問題がある。そして、主催者側においても、作品を発表する機会をつくることは可能になったが、作品を創るためのサポートを行えるところがあまりにも少ない、という現状があります。
そこで、JCDNでは「踊りに行くぜ!!」の次なるステップとして、これまでのネットワークを活かして、作品を創ることをサポートする新しいシステムを全国のパートナーと協働して創ることが出来ないかと考えました。具体的には、日本全国に作品を創るためにレジデンスしながらリハーサルが出来るスペースを確保し、ある一定期間アーティストが滞在し、作品を立ち上げていく。
同時に、ワーク イン プログレスや、クリティカル・レスポンス・プロセスなどを取り入れ、他者の反応を取り入れながら多角的な視点で作品を練り上げていく機会をつくる。ダンス作品を発表する機会だけではなく、作品を創っていくことへのサポートをしていくことの面白さと意義が全国的に広がれば、もっと日本のダンスは発展していくのではと考えています。
「踊りに行くぜ!!」II(セカンド)では、既に上演された作品ではなく、これから創ろうとする作品のアイデアを公募し、各地のパートナーと共に選考し、その作品を創り上演することをサポートします。
その方法として、「A/ダンスプロダクション・サポートプログラム」、「B/リージョナル・ダンスクリエイション・プログラム」という2つのプログラムを企画しました。
このプロジェクトにより、ダンス作品を制作する現場が全国に広がることを期待しています。
JCDNは、より良い方法を各地のパートナーと共に探りながら、年々開催地を増やし、何年か継続していくことにより、全国的にダンス作品制作環境が育っていくことで、より豊かなダンス作品が日本の地から生まれることを切に願う次第です。