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Aプログラム/ダンスプロダクション・サポートプログラム
作者インタビュー/青木尚哉「4….soku」について語る


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インタビュー収録:2011年12月3日 鳥の劇場・スタジオ
テープ起こし:竹ち代毬也
聞き手:JCDN 水野立子

鳥の劇場・スタジオでのダンス・イン・レジデンスが開始して13日目。スタジオ内は、青木さんのレイアウトで毎日、模様替えするという。小道具、稽古着、機材、ケーブル、机、全てが整然と静かに並んでいる。作品制作へのこだわりが垣間みえる。明日、12/4は途中経過のShowigを行なう。その前夜、通し稽古を拝見する前にお話しを伺った。



— 青木さんが「踊」2 vol.2 Aプログラムに応募した理由を聞かせてください。

そうですね、その頃(ちょうど、公募チラシを見た頃)に、感じていたことがありまして。僕自身の問題ですが、何というか、せっかく劇場に行ったのに、わくわくして物語を見に行くとか、わくわくして音楽を聴きに行くとか、そういう感じが自分に薄くなっている気がしていました。僕にとっての劇場って、以前はもっとこう憧れの場所だったはずなのに。何か発表会的なことで劇場に行くことが続いていて、勿論それはそれで新しい劇場の使い方だと思うし悪くはないんですけど、僕はそうしたことに飽きていたんですよね、きっと。そんな時に、「踊りに行くぜ!!Ⅱvol.2」の公募チラシがあって、まさしくそれが「作品をつくりませんか」って書いてあった。
内容はダンスだけじゃなく美術だったりとか、音楽だったり、メンバーを構成して作品制作をするということが書いてあって、たまたまその時、音楽の熊地君と、何かやりたいねって話がすでに盛り上がっていたので、これはちょっと申し込んでみるかなって思い応募しました。

— これまで作品制作をされたことはありましたか?

発注を受けて「この人たちでこういった感じ」の作品はつくることがあったけど、発注がないところで自分の意思とか、自分の気持ちとか、そういう内的な動機からものをつくったことは一度もなかったように思います。人の創る作品を踊ることにすごく夢中だったし、その方が自分はいいと思っていたので、自作自演は、したくなかった。またダンサーと演出を兼ねると、他のダンサーはどんどんと、作品に対して練習や模索を進めている間に、僕は違う作業をしなきゃいけないのが耐えられそうになかった。


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— それって、すごい“ダンサー魂”ですね。(笑)

そうですかね。でも最近は人に指導をする機会も増えて、発表会的な作品をつくっていくうちに、以前よりもっと客観的に舞台空間を見るようになったのと、それこそ作品の公募チラシをみつけたりと、タイムリーな出来事がうまく重なってくれた。僕はいつも何かこういう流れみたいなものに、結構、自分の感受性というか、気持ちがパッと開いて方向性を変えられるんですね。その時に目にするもの、手にするものが全て直線に並ぶタイプなんだと思います。

— 今回の鳥の劇場での滞在制作中の出来事や、感じたことを教えていただけますか?

ものすごく集中して稽古ができました。世の中とか、他の色々な情報と距離をおいて過ごしていました。いつもだとやっぱり家庭もあるし、生活感を引きずりながらなんですけど、今回は、作品のことだけに打ち込める。いわゆる、もの書きが旅館に缶詰なってる感じですかね。
で、この滞在している家にはテレビがないんですよ。さっき事務所に置いてあるのを見つけて……あっ、ここに来ればテレビ見れるんだ!ワーイって思った。(笑)
新聞も読んでないですね、WEBぐらいで……。それはそれでどうなのかなと思う時もありますけど。ただ隔離されてるっていうよりは、自ら山にこもったって感じですよ。

— なるほど、売れっ子の小説家みたいですね。

(笑)さっきスゴイ嵐が来たんですけど、その時はちょうど劇場の方も全員、外出していて、僕らだけしか居なかった。もしかして今世界中で、スゴイことが起きていて、僕たちだけ知らなかったらどうする?みたいな気になりましたね。


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— この劇場と家だけの往復で、作品制作に集中していたらそうなりますね。具体的には、1日をどう使っていったのですか?

Noismを辞めてから3年ほど経っていますが、その時以来初めて、全く同じ生活をやってみました。朝は作品と関係のないクラスをして、昼食をとって、そこから作品のリハーサルっていうのを2人でやってみてるんですけど。やっぱり体が変わります。毎日ってスゴイです。
そうした状態に身体のスイッチを入れてから作品について考え始めてリハーサルする、っていうのは贅沢というか。Noismに居た新潟での4年間はそれが当たり前に用意されてたんですけど、今となってはこういう企画に通ったり、何かサポートが無いと絶対出来ないのかなって思います。

— 自らそれを行なうには、経済的にも環境的にも、皆が皆、望むだけで、できることではないですね。

東京でもやろうと思えば出来るんだろうけど、そうした環境作りってやっぱ課題ですね。

— 今回青木さんの作品は、どのようなテーマで制作を始めたのですか?

いろいろやってみてなんですが、一番最初の企画書に出した「記号的メッセージ」に一巡して戻ってきましたね。美術のカミイケさんとの話し合いが大きくヒントをくれたんですけど、彼も最初の4日間にここに滞在して、まず最初に空間作ってたんで。ダンスじゃない専門の人とコミュニケーションして物をつくっていくときに、やっぱり言葉ってすごく大事になるので、それによってある程度までは話せながら進めたと思います。

僕の場合いつも2つのモノが同時に打ち出されていて、それに翻弄される。例えば体から出てくるモノと、脳みそから出してくるモノと両方の情報があって、それらがぴったりそろっていれば良いんですけど、たまにズレてたりすると、自分で両方やってみても、二つは非常に似て異なることをなってしまうことがあります。


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— なるほど。具体的なキーワードのようなものはありますか?

そうですね。「記号」だけに限らず、標識だったり模様、形でしょうか。それらは、目で見ればわかるってことですごく便利なんですけど、よく見るとそれがほんのチョッと違っていて、それが大きな誤解を生んでいたりすることになりうる。例えば、経験とか記憶で物事を判断することと、体の末端とかで直接触れて、その時その瞬間に判断することっていうのは結構ズレてたりとか、日常でもありますよね。あと、長いスパンで考えて理想をもって頑張っている自分に対して、体は全然怠けてしまう自分があったりとか。
自分の中の、そういう同時にそこにありながら、ちょっとズレてる「何か」を可視化していきたい、ってことがテーマなのかな。その「何か」ってなんだろう?そんなことを見ている人に感じてもらいたくて。さっきの話の脳なのか、体なのかってのも、それは僕の例えで、他のことでもいいんですけど。

— それをダンス作品として表すうえで、どんなプランをお持ちですか?
   
僕たち(プレイヤー二人)はこの作品の中で、わりと規則的に正しく30分間動いていくんですけど、そこには物語を語る筋書きがあるわけではなく、ただ単に、ほんとに30分間一刻一刻違うシステムや法則によって動きを変えていくってことをやっています。初め2つに見えたものが実は1つだったり。でもよく見るとそれはやっぱり2つのものが1つになっているだけだったと思ったら、やっぱりそれは2つないとどっちの価値も表わさないようなものだった、みたいに。

もしその行為が記号だったとして、皆さんにそれが何に見えるか?っていうことを問いかけてみたい。


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— なんかクイズみたいですね。ダンス自体ができあがって初めてクリアーになりそうですね。

1と2をデジタル信号みたいに繰り返していく。結果的には1、2、1、2、1、2・・・、なんだけどそれは1つ前の1ではなくて1、2を通過した1であり、次の2は1、2の1を通過した2であったり。そうゆう風にして何か履歴されてく情報って感じがあるかもしれません。
この作品は今回「踊りに行くぜ!!Ⅱ」5回巡回公演で上演しますが、答えを僕たちが持っていてそれをどんどん強めていくってよりは、雪みたいに降り積もっていって、全公演見た人は「ようやくわかりました」ってことになってしまうかもしれない。たとえ見る人が可視化出来たところで「分かった」ということではないかな、と思うんです。

— というと、1回ずつの公演で青木さん自身が踊って、そのうえで次の公演で具体的に変化していくか、深まるというか、当然ですけど巡回公演の意義がありますね。

その日やる本番の中で、起こる筋書きのないドラマと言うか、野球のルールは変わらないけど毎回筋書きが変わっていくとか、そんなことを起こしたいと思っています。そのため割りとプレイヤーの鮮度にかけていくところはあります。

— 今回の参加者はどのような視点で選ばれましたか?

例えばダンサーとしての基準は、「僕はちょっとそれは出来ないです」って言われてしまうとなると、それは無しだと思いますね。でも、もし言われたら、君の思うことをやってみて、って言うだけですけどね。山田くんの場合は、同じカンパニーに居てクリエーションということ一緒に体験していて、ある程度理解しています。なんで、とにかくやってみたいんだと、声をかけました。リハーサルを通して、何を感じて、何が辛くて何が快感なのか、とかを全部見せてくれたり、言ってくれるので、その時逆に僕がどうしたいのかが分かるんですよ。で、それに対して、また僕も意見を言っていきます。
そんなことの繰り返しが延々と続く。その作業の繰り返しから、更新される段階をいつも見せて貰えるので、そんなに大幅に作業が戻ったりとかしないし、大幅に一つの方向にだけ引っ張ろうとかしないので、支え合ってると言うか、お互い良い距離感でいます。


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— 他の構成メンバーに関してはいかがでしょうか?

企画の段階で参加できる人数が5人って書かれてたのと、予算の幅があったので、一番低額だった場合、自分自身で頼める人だと3人までだなぁと思ってました。最初は美術、音楽、僕のダンス、演出ってことだったんですが、企画が通った時に最高額までサポートされることを知りました。それで、5人まで増やそうと思った時にダンサーを入れるか、照明デザイナーさんもいれるか、と考えました。照明でお願いしたかった伊藤さんは、幸運なことにJCDNの選出したテクニカルメンバーに既に入っていました。ドラマツルグがいた方がいいってことで、最初は出演ではなくそう言った意味合いで山田くんにしました。もう1人は生のミュージシャンを入れる可能性もあったんですけど音楽の熊地君が、「自分の管理出来ないものを30分しかない中に入れるのは得策ではないような気がする」って意見もあって、4人でやろうってなったんです。が、やっぱり美術のカミイケさんに衣装もやれる?って聞いたら衣装は別に居た方が良いってことになって・・。結局、衣装を斉藤さんにお願いすることにして、今回の5人の参加メンバーになりました。

— なるほど、流れの中でメンバーが自然に決まっていった感じですね。

そうですね。あんまりきっちり決め込んで行くってより、その時そのタイミングがあるってことを大事にしたいですね。そういうのが好きなんです。また例えですが、家具とかが隙間にスッと入るのが好きなんです。でも実は、そうじゃない逆の僕もいる。どうしても自分の中にもう一人居るとしか思えなくて、好きなことに対しての几帳面さと、そうなれないことに対してのものすごいいい加減さっていうか、何なんだろう・・、一貫してないんですね。皆さんもあると思いますけど、、、 僕の場合、そのバランスの取り方というか、感覚というかに頼るよねっていうケースがいっぱいある。

— 作品タイトル「4….soku」について教えていただけますか?

人間は二本足で歩くんですけど、二本足で立つその前は四本足で。1人で四本、1人で二本足。1人で四本足、2人で八歩足。2人で四本足、2人で二歩足が、四足・・・、とか。
でもそれは作品のテーマじゃないですよ。今回作品を作るための材料として使った言葉です。
僕の中で4足って言うのは、体を考えることでの自分の体を道具として使う上での言葉遣い、言語として、どちらかと言うと素材としての在り方で使っています。それらから出てきたもので、何が書けるのかっていうことです。多分それは、そのことを使わなければ、書けなかったかもしれない事になりうる。そういう意味では、ジャストでいいんじゃないですかね。言葉としてタイトルに置いとくのは相応しいと思います、ただそのことが見る人に混乱を与えるかどうかは、作品を見てもらってから判断しようと思いますが。


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— さて、本番が近づいてますが、作品の仕上がりは、いかがですか?

15日が札幌のコンカリーニョさんで初演です。いやー、もうすぐですね。もう勝つか負けるかっていうよりは、方向性はしっかりしてるけど、後はどんだけ作業が出来るかどうかですね。東京に帰ってからも、地道にコツコツ続けられるか、また、ここでやったものをどういう方法で保存できるか?とテクニカル・スタッフや美術とか、衣装とか、音楽とかまだ完璧には出来てないので、作品を良いモノにするために、やっぱりみんなとのキャッチボールが必要だと思う。自分のペースで進めて、何回も相手から返ってくるようにうまく時間を使って、とにかく作業を1cmでも、2cmでも重ねていきたいですね。

— 明日の途中経過のショーイングはどのように考えていますか?

やっぱり見てもらってダメかもしれないし、もしダメだとしたら見てもらった事が、次進むための確実な作業になるから、やるだけですね。全否定されても、今から全部壊しちゃおうってことは絶対ならないですよ。僕の場合。とにかく立て増して行くしかないし、何か足りない物があったら横付けしていくしかない。僕はこれをここまでやるって決めてやっちゃってるんで、止めることは出来ないんです。だから出来ることや、出来る作業をとにかく前に進めるだけ。
だから見に来てくれた人にはどんどん色んな意見を言ってもらいたいと思っています。

— ありがとうございました。明日を楽しみにしています。そして、年明けすぐの札幌公演まで、さらに制作を続けていってください。

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