それはやっぱりドラマトゥルクでしょ。』
水野さんが言った。
私の呼称を何にするか話していた時の話だ。

なんだ、それは。
一体何語だ。
夢野久作みたいだ。

どうやら、演劇の世界のタイトルらしく、
軌道修正役のようなものだという。

響きがかっこいいので、良いことにした。

菅原から頼まれた内容は三点。

・制作中、絶対に煮詰まるから、たまに話を聞いて欲しい。
・作品を見た感想を教えて欲しい。
・各公演に同行して欲しい。

オヤスイゴヨウ。
私は軽く引き受けた。
いろいろなところへ行けるる〜、
温泉、関サバ、小豆。
ちょっとしたウキウキ旅行気分。

甘かった。

非常に甘かった。

別府の、
ガラス張りの稽古場に初めて足を踏み入れたときの、
あの、重苦しい空気。
作家のディレクションに対する出演者の不満。
コンフリクトに継ぐコンフリクト。
そして、また、コンフリクト。
頭を抱えた。
逃げたかった。
鉛色のショーイング。
午前4時、
暖房の効かない築100年の長屋で、

鼻水と涙でぐちょぐちゃんになった菅原の顔。
初演一週間前、凍った渋谷。
まさかの交代劇。
再生。

Messyについて考える度、
自分の心のヒダを剥がすことになる。
痛い、イタイ。
見たくない。
触れずにそっとしときたい。
そう思いながら、また一枚剥がしていく。

多かれ少なかれ
みんなとっちらかっている。

だからこそ、いとおしい。

何せうぞ  くすんで

一期は夢よ  ただ狂へ

まだ続くかも。