今日から少しづつ製作日誌を書き綴ろうと思います。

さて、私のクリエイションは、どうしても幸福な出会いとは言い難いのですが、

3/11以後に出会った詩にこんなものがあります。そこから作品がスタートしました。

『灰が降る』

灰が降る灰が降る  成層圏から灰が降る

灰が降る灰が降る 世界一列灰が降る

北極熊もペンギンも 椰子も菫も鶯も 知らぬが仏でゐるうちに  世界一列店だてだ

一つの胡桃をわけあって 
彼らが何をするだろう

死の総計の灰をまく とんだ花咲爺さんだ

螢いつぴき飛ぶでなく いつそさつぱりするだろか

学校といふ学校が それから休みになるだろう

銀行の窓こじあける ギャングもゐなくなるだろう

それから六千五百年 地球はぐつすり寝るだろう

それから六万五千年 それでも地球は寝てるだろう

小さな胡桃をとりあつて 彼らが何をしただろう

お月様が 囁いた

昔々あの星に 悧巧な猿がすんでゐた

-『灰が降る』三好達治