02.14
SOS#140211 佐幸日誌
皆様、こんばんは!2月12日と13日の稽古報告です。
今日の稽古場では皆さん少し疲労が溜まっていたのか、「いててててて」という唸り声やしゅんしゅんと鼻をすする音が良く響いておりました。明日からはまた練習場所が変わったり、竹之下さんが帰ってこられるなど環境が変わるので、怪我と体調管理には今一度徹底して注意していきたいと思います。
12日は慣れてきた稽古場ゆめあーるの鏡をうまく使い、打たれる動作、重さのある死体人形の動きやダッシュのときのフォームなど自分で自分を監視しながら更に意識を高めていく作業を主にやっていきました。バレエのように鏡でラインを造形美に合わせて修正していくのとは訳が違うのですが、意識する、視界のなかに入れるという程度でも自分の感覚(テリトリーのような)がしっかり広がっていき、観客の存在を舞台上にひきつけておくのにすごくいいのではと思いました。
13日は帰ってきたという雰囲気満載のぽんプラザの中で、今まで全員で作ってきた引き出しからマテリアルをたくさん細かく丁寧に取り出し、作品のベースをより発展させていく作業に没頭しました。キリンのマスクが全員分揃ったので、また新たな課題や問題点が浮き彫りになってまいりました。被り物をしながら集中して動くというのはかなり難しく、皆さん苦戦されておりました。
ここにいつも書いているように、既にたくさんのマテリアルがあるのですが、毎日どんどん発展しており、作業のルールが一度としてずっと同じだという日が今のところありません。毎日ぴちぴちに新鮮です。それも竹之下さんが帰ってこられることによって、そして本番が近付くにつれ流れも固まってくるとは思います。しかし悪い意味で慣れないようにしないとな…と今日稽古しながらとても強く思いました。大変難しいことですね。
少し個人的な余談になりますが、海外に出て様々な文化を背景に持つ人間を同時に見る機会が今までに多く、そこで舞台に立つものとして私が感じる一番大きい差は自分の存在感、集中力の表現方法です。
無論、前衛芸術は古典とは訳が違いますので作品の趣味コンセプトにもよりますが・・・。今回のタケヤさんの作品では、ナチュラルに規制した状態の体を舞台や稽古で使うということが非常に重要になってきます。元来職人気質な文化を受け継いできた私たちは、一つずつのことを器用に切り替えて徹底するのはできても両極端なことをマニュアルなしにバランスよく行なうのが若干苦手な傾向にあるように思います。
書くまでもなく私が一番そのことが苦手なのですが、その難しく細かい課題をこなすのは状況、環境にとても左様されやすく、どうしても長時間の稽古ではムラが出やすくなってしまいます。その辺りがこれからの稽古での新たな課題であり、本番での作品の良しあしすらも脅かしかねないかと…。
では、恒例の出演者用記録は以下です.
お時間のある方はお付き合いくださいませ。
まずはウォーミングアップとして1人に対し2人で体のマッサージ兼ストレッチ兼筋トレを行いました。3段階に別れていて、Set1ではゆする、押す、引っ張る、たたく、さする、ねじる、曲げるという言葉を意識して。Set2では2人でしっかり1人の体をぐっと「囲み(包むような)」ます。そこからにゅーっと抜け出してSet完了。Set3では2人とも背中やお尻に乗り、「重なり」ます。同じ様に抜け出すために、匍匐前進をしながら進みます。
そこから1人1枚ずつリノリウムの場所を取り、床に小麦粉が薄く敷いてあるのを体を使って掃除していくように前進していきます。ここでもいくつかの段階に別れていて、高さのレベルを低・中・高と変えて進んだり、スピードを変えたりというのをSet1では小麦粉の掃除のイメージ、Set2では体についたゴミをシール状の絨毯の上を転がり取っていく、Set3では床を体の磁石で何とか天井に張り付いているというイメージで行っていきます。Set3では、動きを死体人形のマテリアルを使うなどしながら一人ずつ1分程度Impro.してみせるなど見せる意識の練習もしました。
このトレーニングは、床での動作の体の重さと硬さ(へろへろしないという意味での)を身に着けることができました。イメージをしっかり体で感じることにより、頭では予想のつかない自分の動きに驚かされ、また自然になるというメリットがあります。逆にイメージを体得できないままだとそれが浮き彫りになってしまいます。
更にウォーミングアップの一環として拍エネルギーを送るゲームを、ターゲットを鏡に張り付けて行うというものをしました。打たれた箇所をはっきり逐一説明するというおまけつきで、ターゲットは鏡を背にすることにより簡単に倒れないしっかりした体の安定とより細やかな反応を身につけます。ここで大事なのは打った方のテンポです。間を作ったり音楽のようにテンポの良さは大事ですが、もっと気を付けなければならないのはいい緊張感です。これは後にも応用されました。
次に、ライン間のダッシュというのを発展させました。いろいろと試し、計5種類の発展が見つかりました。まずは普通に走り抜ける、次に倒れる、3番目に滑り込みゴールまで匍匐前進、4番目に止まった後そのまま軽くJump、5番目が止まった後そのまま観客の一人を選び指をさす。です。
特筆すべきは最後に行った四角のアクティングエリア内を使った「男狩り」と呼ばれる物騒なゲーム練習です。ガムテープで制御する以外の今までの全てのマテリアルを使い、ゲームを行っていきます。主なルールは外を歩く人物から打たれるの防ぐために、エリア内に用意してある物に基本的には隠れながら逃げていきます。このゲームが作品の大きなベースになっていくようです。(ゲームの前にガムテープで私の踊りを制御するというのを泉山さんにShowingしたのですが、これはまた情報を溜めてご報告します。)
佐幸より
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