12.13
とりっとダンス メンバー みきさんより。(西浦 幹茂)
日常生活の中で何か足りないと感じている。映画の「フラッシュダンス」のはちきれるような若い勢いはない。
僕には、体から流れる汗が照明にキラキラ輝くことはない。
現在放映のNHK「てっぱん」の踊りを見て、「いいなあ」と思う。楽しく、お好みを焼く姿が連想できる。
汗を拭く動作、鉄板の上のかつおぶしの様子が見えてくる。日常生活の動作が素直な身体表現になっている。
ただ、そこに思想を求めることはできない。もちろん、思想や文学性を求める必要はないのだが。
「とりっとダンス」が求めているのは、もちろん身体的表現ですが、日常生活の中から一歩踏み込んだ非日常を見てみたいのです。
言葉が溢れすぎている、情報が流れすぎている日常生活の中で、自分の場所を確認したいのです。
「舞台」と言う非日常の世界で、自分の殻・仮面を脱ぎ捨て、一人の人間のままに「舞台」に溶けていきたいのです。
さて、来年2月6日に開催の「踊りに行くぜ」Ⅱに“とりっとダンス”が参加します。
来年の公演のためのリハーサルを12月2日から5日の4日間、作者の岩淵多喜子さんが東京から来てくれて、「とりっとダンス」のメンバーと行いました。
9月19日・20日「鳥の劇場祭3」で上演した作品を会場もスタジオから劇場へ移し、ブラッシュアップするためのリハーサルです。
表現者としての完成度を高く設定して取り組んでいます。
メンバーは仕事勤めをしながらですので、全員がそろって、全体を通しての練習はできませんでしたが、それぞれの役割部分を点検していきました。
今回の予定では、演技の時間が先回よりも短縮される予定ですので、各部分でのメリハリが決め手になるようです。
谷川俊太郎さんの詩をイメージしてつくられたダンスが、今回どのように身体表現として進化したのか、自分たちも楽しみにしています。
ゆるやかな記憶はゆるやかに、激しい記憶は激しいように。ひとつ、ひとつの日常が非日常に変わり、舞台でひとつの大きな流れとなります。
空間に浮かんだうつろいの言葉を掻き集めることからはじまり、海辺での言葉の沈黙を感じ、そのあとのカーニバルの言葉の数々。
社会の壁にぶつかる狂気と呪縛など。
本当は、あらすじの解説はいらない。
見て、感じ、自分の中に言葉が生まれてくればいい。いや、言葉はなくていい。
自分が無言の中でも、周りには無数の言葉に包まれていることを感じてくださればいい。
見に来てくださった方々を心温まるものにしたい。ことばの重みと軽さ。沈黙の中で満ちてくる言葉の数々を等身大に表現していきます。
寒い時期になりますが、木枯らしの言葉に耳を傾けながら、これからも練習は続きます。
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