テキスト・写真:國府田典明

来たぜ鳥取!

鳥取空港からバスで浜田中央というバス停で下りた風景です。日本海!

1月26日(日)鳥取公演を見に来ました。
鳥の劇場へは、公共交通ではJR浜田駅からタクシーというのが現実的。(公演日には駅まで専用の送迎があります。)駅前ならつかまるだろうと当てにして行くと(バス停から浜田駅までは約1kmを歩きました。。)、きょうは日曜だから1台しか動いてないとの事。。30分程待ってやっとタクシーに乗りました。車に乗れば10分程で到着する距離です。

鳥の劇場は鳥取市とはいえ、旧鹿野町に位置し、市街地からは車で30分程。海から2,3km内陸で周囲を山に囲まれた、穏やかな田舎風景の環境にあります。また、鳥の劇場は、劇団でもあります。主宰の中島諒人さんを中心に2006年に設立されました。演劇の創作拠点でありながら、「鳥の演劇祭」など企画公演も行う、自立型の劇場と言えると思います。

踊りに行くぜには、2007年から上演地として参加。佐東さんと水野さんの熱意に感動して
関わっているというお話を中島さんから聞きました。

今回の踊2Vol.4鳥取公演は、AプログラムⅡの二つの作品、黒沢美香さん「渚の風 聞こえる編」、余越保子さん「ZERO ONE」の初演、菅原さちゑさん「MESSY」の再演、地元とりっとダンス「クウネルダンス」の4本立て。


雪じゃなく雨でした。積雪なし!


雨でもにぎやか!

(本番を見て思った事は後編にて。)


鳥の劇場は、地域の常連と思われる人が多い印象で、アフタートークも慣れている感じなのです。積極的に質問が出てくるのも、劇場とお客さんの間が親密だからなのでしょう。質問する事に抵抗がないように感じます。

素朴な言い方の質問でしたが、今日見た作品をどう受け取っていいかわからないが、どういう事なのか。もやもやしているが何とか理解したい、という感じ。

これが、中島さんの「地域を演劇で変える」という事の一端なのではないかと感じました。
踊2ではレジデンスの際にもショーイングを行い、感想や意見を募ります。ここに来るのは地元の方々。鳥取も例にもれず、今回上演したとりっとダンスの方々も見に来ます。境遇は違えど、踊る経験がある人同士。時には鋭い質問もあります。


鳥のカフェのケーキとコーヒー。ここは良い遊び場ですね。(佐東さんにごちそうしてもらいました。)

ちょっとだけ本番の事を。
地元作品のとりっとダンス、節々で面白い瞬間があったと思います。ありがちな狙いは、作品を見慣れている人には見えてしまうので、その点でどうしても”つきあい”なシーンが出てきてしまう。しかしながら、経験も長くなってきて、単なる素人集団でもなくなってきているのも事実で、それが瞬間的に惹かれる。”やってるやってる”、と見て頼もしく思います。

このような活動の在り方は、現代的なのかもしれません。見せるためというよりは、活動する(当事者が豊かな生活をする)ために作品をやるという感じでしょうか。それが地域センターのようなダンス倶楽部とどう異なるのかは、中島さんみたいな人がいるという事でしょうか。

中島さんにとりっとダンスの事を聞いてみました。

「(要約)よくみんなが続けてくれている。仕事後に来て練習してやっている。大変な事だがみんなが喜びを感じてやっている。
占有して稽古できる場所(=鳥の劇場のスペース、中島さんがとりっとに直接関係している訳ではないが、活動の協力をしている。)があったからできている点もあると思う。演劇のリハをやっている場所という影響もあるのではないか。少しだと思うが、力になれているなら、嬉しい。

だんだんうまくなってきている。振付だけでなく空間、時間の使い方もよくなってきている。能動的に作品づくりをしてみようか、という所に至ったのは偉大な事である。自立的自発的に継続的できている事は誇り。

世の中一般的には、いわばお金で買える物は、手に入れた。昔は会館とかハードをつくれば豊かになれると期待をしたが、どうも直面している物足りなさは、お金を払っても仕方ない。一人一人が主体的にならないと幸せの次の段階に進めない、という事がわかってきた。とりっとダンスの活動を見る事によって、その足りなさが充足するんだ、というような事が社会に伝わってほしいと思う。

作品という観点では、とりっとダンスは振付家とやってもいいのではないかとも思っている。(中島さんが)コーディネートする事もあり得る。」

という事だった。

中島さんのように、芸術に携わりコネクションがある人が、地域の活動に協力していく事は、今後より大事になってくるかもしれない。話に出てきた、”物足りなさ”を満たす事に協力するという事。必ずしも作品発表に留まらず、場と知を提供し、それが人づきあいによってつながっているから、実践されている。

中島さんの作家活動は、もしかしたら、この劇場を運営する事も含まれているかもしれない。