アーティスト・作品紹介
目的へ向け動かすのではなく、動いた事で生まれた景色に出会いたい。
胸にひゅんと風が通り抜ける。
今、あかりに照らされたそのからだは、何を求め何をしようとしているのか。


演出・構成:アオキ裕キ
出演:新人Hソケリッサ!(伊藤春夫/小磯松美/横内真人/アオキ裕キ 他)
ドラマトゥルク:溝端俊夫
音:國府田典明

撮影:伯耆田卓助 提供取手アートプロジェクト

座談会→https://www.owlspot.jp/topics/40.html

「おじさんたちの身体まるごとにある歴史から生まれる踊りは善し悪しや、技術うんぬんでない「人間も生き物なんだ」と思い出させてくれるリアルなもの。」

「人間、「見たことのない動き」なんてそうはないはず。何かしらの感覚やトラウマが言葉に刺激され、人それぞれの身体から動きが生まれてくる。僕が想像していたものと、全く違う動きが生まれることも多いけれど、それでいいと思っています。」

制作レポート http://odori2.jcdn.org/7/?p=1149
http://odori2.jcdn.org/7/?p=180


アオキ裕キ Yuki AOKI
兵庫県出身。1987年より東京にて平田あけみ氏よりジャズダンスを教わる。テーマパークダンサー、タレントのバックダンサー業などを経て 2001年NY留学時にテロと遭遇。帰国後、自身の根底を追求。「今を生きる身体から生まれる踊り」を求め2005年ビッグイシューの協力とともに路上生活経験者と集い、ダンスグループ「新人Hソケリッサ!」を開始。言葉による振り付け等を行い、個人しか生み出せない体の記憶を形成した踊りは、社会的弱者への社会復帰プログラムとしても定評を得る。十和田市現代美術館、大野一雄フェスティバルなどに出演。近年では2015 年、弾き語りの寺尾紗穂さんとコラボレーション、日本全国13ヶ所でのツアーが実現。金沢21世紀美術館 金沢フリンジ2016、山形ビエンナーレ2016、ブラジル、リオ五輪プログラム、セレブラ「With one voice」等参加。コニカミノルタソーシャルデザインアワード2016グランプリ受賞。一般社団法人アオキカク代表。


photo: Tsuyoshi KAWAHARA
小磯松美
逃げることの繰り返し人生。はや68歳。もう逃げる所はあの世のみ。
感謝して、体をつかいきっている日々を送ることで、いい死に方を迎えられるのでと思い踊っています。


photo: Tsuyoshi KAWAHARA
横内真人
「踊りに行くぜ!」を全力で楽しむぜ!
1962年10月大阪生まれ。路上生活に至る過程で欠落していった人間らしさ、人と人とのご縁の大切さを“ソケリッサ!”の活動を継続していくなかで取り戻せて行けているのかな?と感じています。「表現すること」はすばらしい!ありがとうございます!

[寺尾 紗穂/文筆家・音楽家]
ソケリッサの踊りはなぜ心に響くのか。踊りはまるで、人の死後、肉体を離れた魂みたいだった。魂のもがく姿はまるで自分自身をそこに見るようでもあった。人は皆同じであり、人は皆ばらばらである。ソケリッサはいつも、私にそう思い出させてくれる。

[曽和聖大郎/映画作家]
制作レポートより抜粋>>

アオキさんにとって、おじさん達の肉体は作品を構成するための素材ではなく、輝きを見出すべき原石そのものなのである。アオキさんはおじさん達の肉体とその動きに秘められたものを、“原始”または“野生”と呼ぶことがあった。ホームレスは都市的な存在であるから、そのようなフレーズが適切かどうかはわからない。しかし、アオキさんはおじさん達の中に現代社会に見失われたある原型(アーキタイプ)のようなものを探しているのではないだろうか。アオキさんがおじさん達に向けている眼差しには憧憬とでもいうべきものがあった。