アーティスト・作品紹介
ダンスは身体の、闇の亀裂が発する光。その振動と瞬間の、変容と乱反射。

音楽、ダンサー、観客の間を巡る駆け引き。 三者の間で起きる交感。
音楽はダンサーと観客を等しく誘惑し、観客はダンサーに踊れと視線を送り、
ダンサーは観客を自分の世界に誘う。 三者それぞれの「踊ること」と「踊らされること」が混じりあう『DISCO』。


振付・出演:岩渕貞太
選曲:多田淳之介[東京デスロック]
映像:細川浩伸
振付アシスタント:酒井直之
衣裳:小暮史人[Design Complicity]

photo: 越後谷出

[岩渕貞太インタビューより 「ソロを自分の芯にする。」]
全文はこちらから→http://odori2.jcdn.org/7/?p=560

「僕が「音楽」と踊るとき次に挑戦することは、身体の強さが曲の具体性とか、歌詞のメッセージ性をどこまで引き受
けられるのか、だと思っています。」

「その上で“何が踊りなのか”を今回やろうと思いました。踊らされないぞ、ってことでもない。音楽を利用する方になりたい。最近の稽古で、室伏さんに向かって踊るではなくて、ここにいない人に向かって踊っているんじゃないか、と思うようになったんです。」

「音楽の立ち位置について決めました。「私・観客」「ダンサー」「音楽」の三角関係の中で、音楽は等距離ではなくて、神様みたいな立ち位置、影響を受けなくて与えるばっかり。運動を起こすわけでもない、受けて座ってみるという立場。」


岩渕貞太 Teita IWABUCHI
振付家・ダンサー。2005年より、「身体の構造」や「空間や音楽と身体の相互作用」に着目した振付作品を発表する。
2010年から大谷能生や蓮沼執太など音楽家と共に身体と音楽の関係性をめぐる実験作を継続的に発表。
その他にもア二メーション作家・現代美術家など、他ジャンルの作家とのコラボレーションにも精力的に取り組んでいる。
世田谷美術館のエントランス、横浜美術館グランド・ギャラリー、六本木アートナイトでの野外公演など劇場外でも空間の特性を活かしたパフォーマンスを発表。その他ワークショップの開催など多方面で活躍している。関かおりとの共同振付作品『Hetero』で、横浜ダンスコレクションEX2012「若手振付家のための在日フランス大使館賞」を受賞。急な坂スタジオレジデントアーティスト。アトリエ劇研アソシエイトアーティスト。


多田淳之介 Junnosuke TADA
演出家。東京デスロック主宰。古典から現代戯曲、ダンス、パフォーマンス作品まで幅広く創作。教育機関や地域での創作、ワークショップも積極的に行い、演劇の持つ対話力、協同力を広く伝える。アジア、ヨーロッパとの海外共同製作など国内外問わず活動。2014年韓国の第50回東亜演劇賞演出賞を外国人として初受賞。2010年より富士 見市民文化会館キラリふじみ芸術監督、2015年より高松市アートディレクター。セゾン文化財団シニアフェロー対象アーティスト。2014年度文化庁東アジア文化交流使。 四国学院大学非常勤講師。


細川浩伸 Hironobu HOSOKAWA
1977年生まれ。2007年より舞台美術、広報デザイン、舞台記録、映像などテクニカルも含めた幅広い分野でアーティストサポートを行っている。主な舞台美術として、中野成樹+フランケンズ、ミクニヤナイハラプロジェクトなどに関わる。


酒井直之 Naoyuki SAKAI
ダンサー、振付家。15歳より身体表現を妹尾伸子に師事。21歳よりダンスカンパニー〈Co.山田うん〉のメンバーとして活動する。これまでに遠田誠、森下真樹、中村蓉などの作品に参加。コンドルズ振付コンペティション(CCC)2013、2015においてアホウドリ賞(準グランプリ)受賞。


小暮史人 Humito KOGURE
2011年にDesign Complicityを設立。メンズ・レディース向けの日常着を展開。 Design Complicityの活動は、服を通じて、それぞれの生活をデザインすることを目的としています。

[平倉圭/芸術学] 岩渕貞太さんのダンスは体で考えている。その思考は、何と言えばよいか、複雑な折り紙のようであり、体が内から外から、さまざまなスケールで折られる。と同時に、観客とダンサーの間の空気が折られていく。折りに触れた観客の体も動いてしまう。今回は音楽、ダンサーとともに「観客」が、同等な駆け引きの場に置かれるようだ。今から楽しみ。

[千田優太/一般社団法人アーツグラウンド東北代表]
私が東京に住んでいた頃、よくクラブ(DISCO)に遊びに行っていた。爆音の心地よい音楽が流れる中、お酒を飲みながら踊りたいときは踊り、飲みたいときは飲み、休みたいときは休んで自由な時間を楽しんでいた。そこには、さまざまな踊りたくなる仕掛けが隠されていたのかも知れない。日常の生活の中で、知らない人がたくさんいる空間の中では、踊るという行為は恥ずかしさなのか、自分にはなかなかできない。
だが不思議なことに、この作品を観ていたとき、とてつもなく踊りたくなる衝動にかられた。ただ、ここはクラブではなく劇場の客席だ。この踊りたくなる衝動と戦いながら、音楽に合わせるでも無く、音楽を無視するでも無く、見せること見られることに縛られない岩渕貞太を観ていた。その身体は自由に存在し、そしてとても美しかった。一瞬、彼の内側が溢れ出てくるのを感じた。クラブで踊るという行為は、大勢の中で他者の視線を気にするのではなく、意識は常に自分の内に向かっているのかもしれない。ここにはいない彼にとって、大事な誰かに向かって踊っているのかもしれない。
その他の作品コメント集はこちらから>>