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【「踊Ⅱ」仙台公演を振り返る①・②】 文:ちばりか
2016.03.01

2016.3.1

仙台公演制作をしてます、からだとメディア研究室・ちばりこと千葉里佳です。

仙台での「踊Ⅱ」は5回目になります。少し振り返ってみたいと思います。

【「踊Ⅱ」仙台公演を振り返る①】

2015年度「踊りに行くぜ‼」Ⅱvol.6仙台公演が終わった。

昨年度まではBプログラムとCプログラムを平行して実施しつつ、仙台公演の制作もしてたなんてバカだ、よくやってたなと思う。

ってか、なんも出来ていなかったんだろうな。


「踊Ⅱ」の制作をはじめた当初、19歳から75歳の老若男女、会ったこともない人たちが集まってコミュニティができ、作品が出来あがっていった。出演者たちがキラキラしていく様子を観ているだけで良かった。それが、震災のあった2011年度。


翌年も、同じような感覚でいたような記憶。



3回目の「踊Ⅱ」をやるときだったか。
仙台からも全国巡回できるAプログラムを目指す作家がでてきて欲しい、そのサポートをしていきたい、とCプログラムと名前を付けて、地元選出枠作品をはじめた。
アーティストの作品制作の場に立ち会っていたBプログラム作品の出演者たちが、いずれCプログラムに応募してくれたら、という淡い期待もあって両プログラムを実施していた。
けれど、そこはちょっと目論見が外れた。
なんというか、いつか自分の作品をつくるんだ、という人よりも、アーティストの手によって、未知の自分と出会うことを望んでいる出演者が多かったから。
そんなことを4回目の「踊Ⅱ」で感じ始めていたけれど、アーティストと出会い、ここにはない何かを置いていってくれるという魅力を考えるとBプログラムもなかなか諦めきれずにいた。

その後。
JCDN水野さんと話をするうち、地元選出枠作品にしぼり、その中で広げられること探していく、より地域と密な関係を築いていく方向で進めていくこともありなんじゃないか?と考えるようになった。

【「踊Ⅱ」仙台公演を振り返る②】

そして、2015年度。
今回の「踊Ⅱ」。
地元選出枠作品は、2次募集ののち、2組の応募があった。

選出されたのは、小野詩織作品「マクロファージ」。

地元選出枠作品制作の現場に立ち会っていて感じるのは、「作品をつくるという経験」の少なさだ。
踊ることは学ぶけれど、つくりかたを教えてくれる機会はほとんどないから仕方のないことかも知れない。

作品制作の経験が少ないこともあり、
制作方法も探しながら進むしかない地元枠選出者が、作家という立場に立たされ、「踊Ⅱ」の舞台にAプログラムアーティストと一緒に並べられるのはあまりに酷なんじゃないか、そんな風に考えることが回を重ねるうち増えてきていた。
それと併せて、もしこの企画をやめてしまえば、
「作品をつくる経験を踏む場」も、ただでさえ稀少な仙台でのコンテンポラリーダンス作品に「観る・触れる場」もなくなって、また振りだしに戻ってしまう。
でも、地元作家には、「踊Ⅱ」のハードルは結構高い。
そんなモヤモヤした気持ちがいつもどこかにあって、このまま続けていて良いのか悩んでもいた。

とはいえ、
今回の成果として大きかったことに、「途中経過発表」がある。

今までは、作品制作途中にある作家を不用意に傷つけないように、という思いもあり、関係者だけの閉じた状態で行なっていた。

それを思いきってオープンにし、「クリティカル・レスポンス・プロセス(CRP)」という方法を用い、

サポーターもニュートラルな状態で意見・感想・提案を述べるというちょと頭を使うゲーム感覚で対話をする場を持てたこと。

「マクロファージ」は途中経過発表を12月末、1月末の2回実施した。年齢、性別、職業、趣味嗜好異なるサポーターから、様々な意見がでた。
同じものを観ているはずなのに、人の視点はこんなに違うのか、と改めて個人への興味が涌いた。

また、もらった意見を集約していくと、作品に足りないものが見えてくる感じもあったのは、とても興味深いと感じた。