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仙台B/Cプログラム 途中経過発表レポート
2015.02.02

「踊りに行くぜ!!」Ⅱ vol.5 仙台
Bプログラム 今津雅晴作品「舟」 / Cプログラム 平間文朗作品「杜」

<<途中経過発表>>
日時:2014年12月23日
会場:仙台市宮城野区文化センター パトナシアター
踊2仙台担当になってはや3年。本番とクリエイションスケジュールとの兼ね合いで、毎年定禅寺通がクリスマス・イルミネーションで輝かしい、この時期に行われる踊2仙台途中経過発表です。数日前に岩手県陸前高田市から仙台に移動し、イルミネーションを仙台の関係者と一緒に堪能しました。
というのも、11月から12月にかけて宮城県石巻市から岩手県上閉伊郡大槌町まで北上する形で「習いに行くぜ!東北へ!!」というアート・イン・レジデンスを実施し、インドネシアからの招へいアーティスト・マルチナス・ミロトさんと帯同しながら東北沿岸部を周り仙台へ移動、その際今津さん始め仙台のダンス関係者と合流し、仙台のクリスマスを堪能したのでした。

なぜ、「習いに行くぜ!」の話から始めたかというと、踊2仙台公演では震災以降必ず作家・出演者や観客から“震災・津波・被災地”という言葉が出て、感想も良かった・つらかったと二手に分かれます。表現に触れることで感覚を呼び起こし、記憶を想起させるのはごく当たり前のことなのですが、舞台や身体表現がどんな方法でその気持ちに近づいていいのか、可能なのかは考え続ける必要があると思います。「習いに行くぜ!」は実際にその土地にある“郷土芸能”を習い、身体表現やダンスとのアクセスを発見していく実践の場になりますが、踊2のように仙台で作品を作るというのは一体どういうことなのでしょうか。


Bプロ今津作品「舟」はタイトルからも分かるように、「舟」を具体的にまた比喩的に人生と身体を巡る道具として扱った作品。仙台でのオーディションを得て、5人の仙台在住の男女が出演します。ここまで1週間程のクリエイションでは、出演者と身体を動かすワークだけでなく“思い出”と“思い出にまつわるモノ”についても話し合いを深めてきた様子。カタチのない記憶である“思い出”とカタチとして存在する“思い出にまつわるモノ”、カタチのない記憶が“モノ”に移殖され思い出を想起する装置となる。思い出の箱である身体は、他者を想起させる装置となるのか。記憶にまつわるからだとモノについて語る、今津雅晴インタビューもぜひ参考にしてください。


Cプロ平間作品「杜」、杜の都仙台の「杜」。仙台には何度も訪れていますが、私自身は未だ仙台の杜がどんなものだかわからないままでいます。さて、平間さんにとっての「杜」はどんな「杜」なのでしょうか。仙台の杜についてはわからなくても、山に囲まれた土地で暮らす私たちは自分たちの「杜」をそれぞれ持っているはずです。自然を愛で癒されることも、時に恐れをなすことも、私たちは生活の中で経験してきました。そのための祭事儀礼も数多くあります。言葉が生まれる前の原始の頃から、身体を通して感じ表現してきた自然への畏怖。人類の経験に今を生きる作家はどのように挑むのでしょうか。

生きるものとして抱えきれないほどの大きなテーマに立ち向かい、記憶に触れながら作品を作ること。言葉にはない、表せない、感覚や感情で、舞台と観客とが語り合うことができる作品が、仙台から生まれる気配を感じました。

JCDN北本麻理