クリエイションドキュメント [各作品の作品制作の様子を作家・編成メンバー・取材者・共催者が記録していきます]
今始まった/小泉紗奈

(投稿者:制作/高橋砂織)

松山公演本番が終わって、4日目。
まだ、余韻が残る。
松山では3作品目となるBプロ作品。
余越さんがこの松山で中/高/大学生とつくった作品「B」は、強烈な存在感で私の心に突き刺さった。
70年代に生まれた音楽と、昭和の映像を使い、現代に生きる若者が踊る。
作品ノートにも書かれていたが、実に剛毅(ごうき)な作品だった。
その剛毅な作品を観て、鼻の奥がツンとして、いたたまれない感情がわいた。
観た日も、翌日も、その翌日も、そして今もなお感覚が薄れない。
一度きりのダンスだったけど、骨身に沁みる時間だった。
強く生きなきゃと。

さてさて、1997の年号を背中に踊った紗奈ちゃんの最終のドキュメントです。
紗奈ちゃんは、何を感じて毎日過ごしてるんだろう。
ぽっかりしてるのか、がむしゃらになっているのか。。。
いや〜本当にお疲れ様!そして、次に踏み出す一歩が確実に変化している事を願って。
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■今始まった/小泉紗奈

ダンスって繋がることなんだ、と凄く思う。
余越保子さんはじめ舞台に関わっているたくさんの素敵な方々と出会い、作品を作り、たくさんの応援の声を頂き、披露し、そしてまたそれぞれの活動の地へ戻っていく。
一期一会の意味を身を持って知った。
クリエイション期間は、終わってみるとこんなにも儚く感じられる。
寂しさで埋め尽くされてはいけない、早く切り替えてこれからの自分に活かしていかねば、と言い聞かせても、正直やはり寂しい。
本番中に舞台で感じた物凄いパワーがまだ余韻として身体に残っている。
出来ることならまたあの作品を踊りたいが、「一度きり」ということもあの作品の大事な一部なのかな、とも思う。

とにかく何が言いたいかというと、クリエイション期間、本番、踊りに行くぜ!に関わらせていただいた全ての時間が楽し過ぎたということだ!!!泣

そして、こんな私にクリエイションドキュメントを書く役割を任せていただき、本当にありがとうございました。
おかげでダンスについて、そしてクリエイションについて今までに無いぐらい深く考え、自分自身成長出来た気がします。

全ての方に、心から感謝します。

ひとつ大きな経験をした、以前とは違う自分が、今始まった。


撮影:一楽-ichigaku-

松山本番

(投稿者:高橋砂織/制作)

いよいよやってきました本番当日です。
松山は雨。

ホール入りした紗奈ちゃんのことばです。
一度きりの舞台
なにもかも見逃さずに、そこにしっかりと立ち全力で駆け抜けて欲しいです。

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1月28日
26日火曜から会館入りしてのリハが始まった。
あー本番が着々と近づいてきてる!!
照明と合わせたり、歌のシーンで使うマイクの確認をしたり、ダンサー同士で振りのタイミングを合わせたり、だんだんと舞台と身体と心が合わさってきてる気がする。
楽しくて、どきどきする。
今までもダンサーとして様々な舞台を踏んできたが、今回は、かつてない程新しいものに足を踏み入れてる感じがする。
ダンスって、こんなにも生き生きしてるんだ!
踊る事に対するかつてない程の楽しさと、定まらないまるで生きてるようなダンスに対する面白さをすごく感じる!

明日の本番、最高の状態で臨めるように、今日のリハを大切にしよう。
がんばるぞーー!!

松山日記

(投稿者:高橋砂織)

大寒の今日はオフ。
みんなの顔つきが会うたびに変ってきます。
言葉で解釈したり、動きを噛み砕いたり、カラダをつかって黙々と向かう日々。
まだまだ時間はあるのです。

小泉紗奈ちゃん(高校生)の稽古日記2

1月15日

初めて現場入りしてステージで踊った。
通した時、曲と映像のタイミングにダンスが大幅に遅れた。
自分でも、いつも踊っていた感覚とはズレているのが分かり、場所を広く取りすぎている事はすぐに分かった。
いつも稽古場で壁ギリギリまで精一杯使い踊っていたせいで、ステージで踊りながら上手く空間の事を考えられなかった。
現場入りしたら早くステージに慣れよう!と意気込んで臨んだものの、やはり感覚を掴むのには時間を要してしまった。
せっかくのステージでの稽古、もっと早く課題解決出来たら、更に時間を有効に使えたのになあ〜〜と自分の無力さを感じるが、得た感覚を頭に叩き込んで、これからの稽古の取り組み方に生かしていこう!と、前向きに前向きに。

1月20日

伸びやかにゆったりと、脱力したシーンでの身体の使い方がとてつもなく難しい。
イメージ通りに身体が動かない。気を抜くとまだまだ重心が高くなる。
そのシーン中、途中からデュオをすることになった。振り回されながらも身体の芯には軸がある。相手に身を委ねながらも完全に持っていかれる訳ではない。微妙な力加減をまだまだ追求していかねば!
因みにデュオの相手は、私がいつかダンスで共演したいと思い憧れていた、二個上のダンス部の先輩。デュオをすることを保子さんから伝えられた時、正直嬉しくて飛び跳ねそうだった。個人的な感情だと思い抑えたが。(笑)
せっかくの先輩とのデュオ、なんとしても、納得のいく踊りがしたい。

土曜日からは本番までノンストップだ〜〜
作品ともっともっと溶け込みたい!
(小泉紗奈)

松山前半戦

(投稿者:高橋砂織)

松山の制作高橋です。
今日から、後半の稽古がスタートしました。
これからはじまる後半の様子をドキュメントする前に。。。12月に行った前半の様子を掲載します。
出演者である高校生の小泉紗奈ちゃんが、書いてくれました。

12月20日
初めて動きを創った日、私の動きは使われなかった。でも、保子さんに自分の考えた動きを見ていただいた後の時点で、自分の考えたものは使えないだろうな、と何となく自分で思っていた。
私が高校のダンス部で活動していた頃創ってきた動きは、身体中をめいっぱい使い切る動きだった。それがきっと一番良くて、強く踊れば伝わると思ってたからだ。
だから数日後保子さんに言われた、「頑張らない動きをしてみて」の意味も、身体が全く理解してなかった。
頭では、あんな雰囲気のことを言っているんだろう、と理解出来た。でも身体が動かしたい様に動かない。
脱力する。指先足先意識。身体の重心を低く。分かってはいるが、自分の踊りの癖が邪魔して出来ない。もっと自然で滑らかな動きがしたいのに!
悔しい。

悔しさが湧き上がってきた時、ふと、自分がこの先新しい踊り方が出来るようになるかもしれないって思いも同時に湧き上がってきた。もっと踊りたくなって、ずっと稽古していたかった。

稽古後、悔しいはずなのに、家に帰って溢れたのは、ダンスに一生懸命になってることの幸福感から来る嬉し涙だった。
嬉し涙なんて、自分は頭がおかしいのかと自分を心配したが、でもやっぱり幸せで楽しくて、その後ひたすら部屋で練習した。

12月24日
「英語の歌を歌ってもいいよって人ー?」
と保子さんから聞かれた時、私はすぐ手を挙げた。

何故なら、ただ、やったことのないような事を色々してみたいからだ。声を出すのも好きだし。
むしろ、今まで踊りながら聴こえてきてたあのかっこいい歌を歌わせてくれるの!?と思い、わくわくしていた。

保子さんから歌詞カードを渡され、日本語訳を見て意味を理解した。
訳には「戦い」や「罪」など強い言葉がはじめに目に入り、一瞬過激な歌詞なのかと思ったが、しっかり読むと、人間の愚かさに絶望するような、しかしそれでいて強く訴えようとしているような感じに思えた。なんだか凄く切なかった。
「自分の心に問うてみろ」
と、呟いたり叫んだりして何度も訴えかけるような詩で、ずっしりと心に響くものがあった。

訴えるって、、どう歌うんだ?
と思った。
簡単にやるとベタになりそう、、。
心から訴えようとして歌ったら身体ってどう動くんだろう。

歌い方も立ち居振る舞いも、まだまだ定まらない。
何かを伝えられる歌い方ってどうすれば、どうなりきれば、いいんだろう。
模索中、、。

しかし、歌うってのはやはり楽しい。

③12月26日(ショーング前日)
ショーイングの前日、映像を使うか否かを保子さんとダンサーとアシスタントみんなで話し合った。
映像があることで、具体的なメッセージ性が生まれ、強い印象を受けた。
私は映像を使う事に賛成だった。
伝えられる事があるのなら、伝えたい。また、それが過激であっても真実を伝えるべきだと思ったからだ。
私は反対意見の人が理解出来なかった。
でも保子さんが、「これは果たしてダンスで伝えるべきなのか」と言った時、私は賛成か反対か分からなくなった。

正直言うと、未だに「自分達のダンスで伝えること、伝わること」は何となくしか分からなくて、言葉に出来るほど明確なイメージが出来ていない。

このまま二部の稽古が始まることに対する恐怖は、全く無いと言うと嘘になる。
だが、早く始めてもっと一つ一つの動きに気持ちを乗せていきたい、もっと身体中が一体化して踊れるように練習したい、という気持ちの方が何倍も強い。
動きたくて、身体がうずうずする。

待ってろ勝負の二部ーー!!!!

小泉紗奈

松山7日目の、もくもく

(投稿者:宇都宮忍)

クリエイションが始まり7日目。
第1回目のショーイングまで、残すところあと数日になってきた。出た素材を少しずつカタチにする時期に入ってきているのかな?
今日は稽古場に向かう途中、今回の作品タイトル「B」の、Bという言葉について想像していた。
Bと聞いてまず浮かんだのが、
A面、B面
Aメロ、 Bメロ
A型、B型…
あれ?BにはAがくっついてくる。しかしBはなんか裏側というか、反対のようなイメージ。
作品コメントの一節に、 -ここではないあちら側- と、あったなぁ。この言葉の響きが好き。そんなことを考えていたらあっという間に到着してしまった。
稽古場に入ると、前回の見学の時入れ替わりで帰って行った女子3人組のトリオが踊っていた。
3人の足並みを揃えるために余越さん、丁寧に時間をとる。
それでも、なんか引っかかる。
3人のパートが終わると、引っかかってたななちゃんが私の元にきて、「私の踊り観てどうでしたか?」とめっちゃ直球をなげてきた。今回レポートの為にこのクリエイションに参加しているが、振付家の立場ではないので、さてどう答えようかと一瞬躊躇したが、いちオーディエンスとして正直に答えるのが筋かなと思い、「ぎこちなかったよ。」と答える。
「あ~、みやぶられてる。動きは入ってるんだけど、緊張して力が入っちゃうんですよね~」と話す。
「リラックスしてやらなくちゃ!」と、もくもくと練習を再開。頑張れ、でも頑張るな~!
その後、女子トリオ~デュオまで、翔くんのソロの動き、大学生トリオのユニゾンの動きと細かく動きの確認をしていく。動きに入る時、どうしても構えてしまう。ゆっくりの動きになればなる程、カタチととらえるのではないから難しい。
今日の最後に3つの素材を掛け合わせる。
前回もうっすらと感じたことが、今日はすごく鮮明に見えた。翔くんはすごく個性的にみえるのに、あとのみんなが個性的でない?!なんでだ?わざと??それとも…。
稽古の後、余越さんに今度は私が直球、聞いてみた。
「多分そう見えると思う。そういう風にわざとキャスティングしてる、奥行きを持たせる為に。翔君の動きを一番いじってなくて、そのままやってもらってる。あと、今日はいないけどコリン君が翔くんとみんなの中間の存在にしてる。」
感じた違和感みたいなものは、必要な演出と知れてモヤモヤが晴れる。
Bのイメージが私の中でもじわっとリンクする。あちら側か。こちらとあちらは対であるようで全然違うもんな。
ショーイングまで、何を選んで、何を置いていくのか…。

ハードな日々が続きますが、かぜっぴきが増えませんように。
みんな、カラダが資本ですよ~!!

始まってますよ!

はい、松山のクリエーションドキュメントを担当させて頂きます、yummydanceの得居幸(みゆき)と宇都宮忍(うっちゃん)です。
これから交代で稽古から経過発表そして本番 までをドキュメントしてまいります。
今日は2人で初めて稽古場に伺いましたので、それぞれが少しずつ報告しますね。
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こんばんは、得居幸です。
今夜の稽古場は、元幼稚園のお遊戯場。
外は寒いですが、中では裸足のダンサー達と振付家の余越保子さんの、和やかな中にも集中力のある熱気で溢れていました。
私たちが訪れた時、丁度、前半の稽古に参加していた学生達が帰るところだったので、少し話しを聞いてみました。
クリエーションに参加して、今どんな事を感じていますか?との質問に、ダンサーとして参加している高校1年生のあんなちゃんは、
「ダンススタジオや学校とは違い、積極性の 求められ方や、振りの作り方の違いに驚いていると同時に、沢山の発見があります。振りの幅や人間性が広がっています。」
と目をキラキラさせて答えてくれました。
また、今回アシスタントとして参加している大学2年生のはっすーは、
「ビデオを撮ったり、メモをしたり、振り覚えをフォローしたりと、作品作りをアシストしていますが、1つのチーム内に中・高・大学生が居るので、どうフォローすればその年代に解りやすいかを日々考えています。余越さんの振付けの仕方がとても勉強になります。」とのこと。
それぞれの立場から、1つの作品に色んな思いをめぐらせつつ、今この作品に参加できている喜びを滲ませて話してくれた2人でした。
また機会があれば、他のダ ンサーやアシスタントにも話を聞けたらと思います。では、稽古の様子をうっちゃんにパスしまーす。
それにしても、作品制作の現場って本当に面白いなーー。私自身も色んな事を思い出しました。
足先は冷えっ冷えだけど(笑)、気持ちは上がりっぱなしでした。

ではここからは、宇都宮が今日の稽古の様子を報告します。

「マテリアル」を重ねる。
ソロ・トリオ・全員の順番で、できたマテリアルを組み立てていきます。
まずは、翔くん(中学生)のソロからスタートです。観ていて色んな感情を巻き起こしてくれる翔くんのソロは、純粋に動きに向かっていてものすごくステキでした。
からの、ヤマト・のり・てら(大学生)のメンズトリオ。がつん!って感じの、その男っぽさにクラクラしてしまい、同じ動きをしているのに、このギャップ面白いです。
年齢やカラダ、人が変わればこうも見え方がかわるのか。 フムフムと思っていたら、余越さん次は順番を入れ替えてこのマテリアルを試します。
すると、どうだろう?また、見え方が全然違う!なんか、こうなってくると、可能性は無限大に感じられてきます。
このシーンどうなるんだろう?どう組み立てられるのか、個人的にもめっちゃ楽しみです!
そして、次に各自のオリジナルのソロパートの細かい振付チェックに入ります。
余越さんの言葉がとんどん飛びかいます。ダンサーの動きの癖を即座に見抜いちゃうんです。
でも、ダンサー達も必至に答えて、踊りで返していきます。
問答のようなダンスの時間を経て、バラバラに存在したソロが一つの空間と時間にまとまると、余越さんの以前の作品から抜粋したデュオをトリオで再構築していきます。
これが、とてつもなく美しい振付でして。ダンサー達も映像で振りおこししながら、びびっておったのが、なんともかわいかったです。今はまだ、ぎこちないけど、すぐに彼ららしい振付になっていくんだろうな~。面白くて、あっという間の見学の3時間でした。
リハ後、余越さんと少しお話させてもらいました。いや~役得です!
「今は素材集めの段階。動きはほとんどダンサー自身から出てきたのも。出してもらいたい動きがあっても、そのものにならないよう、裏をかく。その為のいくつものトリックがある…。 
”頭が考えず、身体が考える” 」
と、話して下さいました。
松山でのクリエイションが始まって数日しかたっていないのに、新しい景色が見え隠れし始めています。
新しいドアが開く、そんな予感を感じた今日でした。

松山〜♪

松山dagdagのさおりです。
今年の松山のBプログラムスタートしました!
余越保子さんが松山入りして、はや5日。もくもくとはじまっています。
今回の出演者は8人。中学生2人、高校生3人、大学生3人。加えてアシスタントとして3人の大学生も参加です。

1人1人と話しながら、書きながら、つくりながら、はじまりました。
稽古開始から4日目、ダンサーの顔つきも変わり始めています。
どんな作品が顔を出すのか、楽しみです。

今回、松山のクリエーションドキュメントは、松山を拠点に活動するyummydanceの得居幸さんと、宇都宮忍さんが書いてくれます。明日から登場です!
本番まで、あっという間に1ヶ月です〜
いや〜〜はじまった☆