鳥取市鹿野町の鳥の劇場で、11月に行ったAプログラムのダンス・イン・レジデンスの様子をお知らせします。今年からAプログラムに、新人(AⅠ)とキャリア(AⅡ)の2つの枠を設けました。

この鳥の劇場では、1月の巡回公演でAⅡの作品を2つ上演します。今回その2作品のレジデンスを行いました。このサイトの<photo/movie>に写真をUPしたのでご覧ください。

黒沢作品「渚の風<聞こえる編>」が、1週間のレジデンスを終え11/22最終日に途中経過発表を行い、11/24から入れ替わりに、余越作品「ZERO ONE」のメンバーが劇場入りしました。

黒沢さんと余越さん、別々にお話しを伺いましたが、奇しくもというか必然というか、共通した言葉を聞くことができました。”ダンスが立ち上がるということ” ”舞台に立つ時の自己の在り方”ー必然のダンスーについて向き合おうとすること。

「ダンスはダンサーだけのものではない」と明言する黒沢さんの作品には、その意識をもって臨んでいるというミカヅキ会議の3人が出演する。3名とも普段は大学で教べんをとる大学教授。いわゆるダンサーではないし、ダンサーを職業として生きていこうとしている人たちではない。しかし、「所詮、大学教授の酔狂だろう」というご多分事で終わらせはしまい。ごまかしが通用しない容赦ない黒沢さんの目を潜り抜け、ごまかしのないダンスを踊ってみせるしかないのだから。そうでないとダンスが見えない。

かたや、余越作品は双子姉妹ダンサーが出演する。一人は日本で、もう一人はヨーロッパでカンパニーメンバーとして、別々にダンス修行を10年以上重ねてきたキャリアを持つ。むろん、ダンサーを糧にして生きてきた。その二人が今回がなんと初共演となるそうだ。ダンスを覚えたり理解する方法に共通するものがない故、その軋轢が起きる。しかも、他人じゃなくて、双子だから距離がなく遠慮がない。それが緊張感を生み出しているようでおもしろい。

今回の作品は、「Hangman Takuzo」 余越保子監督作品 [THE BROOKLYN RAIL (JUL-AUG 2011)]という映画と、この双子の生身のダンスの2つのパートから成り立つ。映画には、黒沢美香、首くくり栲象、川村浪子が映像出演している。いわゆる超前衛アングラ芸術世代だ。

黒沢、余越2つの作品のアプローチはまったく違うけれど、だからこそよけいに見えてくるダンスとは何ぞや、という本質を求める問があるようで、この鳥取公演に目が離せないのは確かだ。

これから、12月までAプロ新作3つ、再演作品3つは、猛烈な追い込みリハーサルを重ね1月からの巡回公演に向かい中。

あーもう1月かーということになるんだろうなあ。12月というのはなぜこうも走る月なのだろう。(記:みずの)