煙のように消えた人 その滲みのような影、 ともに踊る秘密の場所へ。
消え去った者の痕跡が異なる時空間に漂い続ける — Ghosting。
その声、その言葉、そのイメージは、雑然と積み重なり、ところどころ欠落しながらも響きあい、漂流する。
記憶が土地に宿るように、身体に習慣が宿るように、けれども違うやりかたで、
それらを漂着させることができるだろうか。
今回のプロジェクトでは庭園史研究者の山内朋樹、詩人・ミュージシャンとして活動するAGFらと
ともに「声」や「光」といった実体のないものたちによって生成し続ける仮想の庭空間をつくりだす。
—このうごめく空間の中、その動きに促されるようにして体はある軌跡を紡いでいく。
演出・振付・出演:平井優子
出演:中尾舞衣
ドラマトゥルク:山内朋樹
音楽:Antye Greie-Ripatti aka AGF
映像・サウンドデザイン:古舘健/神田竜
[動画インタビューより抜粋]
http://odori2.jcdn.org/6/?p=1616
「〈地を持たない庭〉をイメージしていたんですね。下をあんまり感じたくない。「庭」って基本的に大地と結びついていると思うんです。いわゆる 宗教も土地と結びついているから、そこを切り離して出現させたいという欲求が、一番最初にあったんです。」
「“動きを様式化する”ことに挑戦したいと思います。その人の持ち味を舞台に乗せるのではなく、動きそのものを純粋に残していくということは、どういうことなのだろう、と考えています。
去年、山中の小さな村で滞在制作した時に、口頭伝授で残っている舞を教えてもらいました。その「型」の引き継がれ方、何を持って「型」として残っていくのかに惹かれました。今回の作品の振付でそこを意識して試していきたいです。」
平井優子 Yuko HIRAI
4歳よりクラシックバレエを始め、93年上京後コンテンポラリーダンスへ転向。 数々の客演を経て’01年フランス政府給費留学生としてCDCトゥ
ルーズへ留学。 のちにダムタイプメンバーとなり制作や国内外での公演ツアーに参加する。 その他、高谷史郎作品『明るい部屋』
『CHROMA』などへ振付出演として参加、藤本隆行×白井 剛『Node–砂漠の老人』などコラボレーションを中心とした作品に参加をしながら近
年では地元、岡山を拠点とした活動もはじめる。 ’13演出作品『愛について語る時に我々の語ること』、‘14滞在制作作品『猿婿– The face of
strangers』を発表。
中尾舞衣 Mai NAKAO
幼少からコウワバレエにてクラシックバレエを始め、現在は同スタジオ教師。大学にて身体表現を学び、創作ダンス部に所属。 (公財)岡山市
スポーツ・文化振興財団「ダンス・インキュベーション・フィールド岡山」メンバー。
山内朋樹 Tomoki YAMAUCHI [美学・庭園史研究/庭師]
兵庫県立大学客員研究員/草木の使代表。フランスの庭師、ジル・クレマンの研究を軸に現代ヨーロッパの庭や修景をかたちづくる思想と実践を考察しつつ、
その源泉を近現代の庭園史に探っている。また、在学中に庭師をはじめ、研究の傍ら独立。京都を中心に関西圏で庭をつくるほか、
庭をとおして芸術活動をおこなう。訳書にクレマン『動いている庭』(みすず書房、2015)。芸術活動に「仮止めされた風景」(KYOTOEXPERIMENT2014 フリンジ企画)。
Antye Greie-Ripatti aka AGF
コミュニケーションと言語とをデジタルテクノロジーにより脱構築した作風で知られる。 2004年のアルス・エレクトロニカにて特別賞を受賞。
2006年にはXLR8TR誌、Wire誌の表紙を飾る。
現在はフィンランドのハイルオト島にてアートスペースHai Artのアーティスティックディレクターを務める他、
インディペンデントキュレーターとしても活動。Chain ReactionやRater-Notonからのリリースで知られるミュージシャンVladislav Delayとのデュオ、
AGF/DELAYとしても活動。 展覧会「札幌国際芸術祭2015」や、「MobLab:日独メディア・キャンプ2005」への参加、
ミュージシャンとしての最新作では日本人ミュージシャン、KyokaやTsujiko Norikoをフューチャーし、
小野小町をはじめとする古今の日本の女性詩人の作品をモチーフとした作品「A Deep Mysterious Tone」を発表するなど日本への造詣も深い。
http://www.poemproducer.com/
古舘 健 Ken FURUDATE
1981年神奈川生まれ、京都在住。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)卒業。コンピュータープログラミングをベースとして映像、
音響、メカトロニクスなどを手がける。個人での活動のほか、2002年よりサウンドアートプロジェクトThe SINE WAVE ORCHESTRAを主催。
近年では主に高谷史郎氏のインスタレーション、パフォーマンスにてメディアオーサリングを担当。
http://ekran.jp/anagma