クリエイションドキュメント [各作品の作品制作の様子を作家・編成メンバー・取材者・共催者が記録していきます]
舞踏譜 抜粋

(投稿者 西村未奈)

東京公演が終って、あっという間に2ヶ月。踊りに行くぜ、のクリエーションや巡回公演で、凝縮した時間を過ごしたせいか、この2ヶ月はふわふわと春に浮遊しています!でも、身体に刻まれた記憶が、今までとまた少し変化した世界を見せてくれているのかな〜。クリエーションで、使用した広太さん作成の舞踏譜の一部を遅ればせながら、今プロジェクトの終止符として投稿したいと思います。

●最後衰弱ー座頭市ー頭の内側の至る所でウジが湧くー右足相撲土俵払いのけー腰の両脇湯気ーペルベス落とししな垂れ、ヌルヌルとしたアロエが這い出すー右手鏡で頭の後ろを照らす、正面の顔は抜け殻ー右手梨を掴み突っ立つ死体、糞尿は垂れ流されるー右方向、障子の光から間接照明、後ろは闇、右足の親指と小指を蟻が運ぶーいくつかのステップから猫背ゴアが出現、何かを食べているー幽霊からロクロ首ー歌舞伎決めポーズからの浮遊ー朧月の女、右手は招き猫ー蒸発へと向かうが体は沈み正面の花魁ー両肘上がり、指先は桜の花が散る

●100歳老人の呻きー一瞬にして髪のないドクロー死刑間際の青年将校ー生きている首切り男、首だけシェイキングー歯痛顔芸ー死んだカエルの屍ー左斜め、体の淡い悲しみー小川の清らかな流れを実感、溺れそうな顔ー小川が流れ出すードクロが笑い出し、ハリーポッターのゴブリンー耳から白い髭が横に向かってしげり仙人にーすぐにでも灯火が消えそうな存在ー右肩から影が忍び寄りシャガールの幽霊

福岡公演目前 3月4日

(投稿者:笠井端丈)

札幌 神戸と終えて次は福岡。城崎温泉でのクリエーションから3ヶ月。
作品も植物にようにすくすく時間とともに育っています。
広太さんは常に 時代 時間 瞬間を捕らえ 言葉そして動きに変換する。
なので時間とともに毎回作品が新しく生まれる。同じ瞬間が二度とおとずれないように。
作品もいつも新しい瞬間の連続です。残すことあと福岡と東京。
多くの方に山崎広太さんワールドを体感してほしいです。よろしくお願いします。
札幌出発前の稽古(1月10日)

(投稿者:西村未奈)
札幌出発が3日後に迫ってきました。みつたけくんの自宅でもある、天使館で今年最初の稽古をさせて頂きました。明日は、森下スタジオで最後の稽古です。今日は、舞踏譜を用いて振り付けられた最後の場面の稽古をしましたが、「身体の内からのエネジーが全く感じられなく、身体が隙だらけなので、これでは成立しない」と広太さんに、叱咤されました。むずかしい〜〜〜。自分でも身体が浮ついている感じがするので、札幌の公演までには、ぐぐぐっといけるように。分裂を飲み込むブラックホールのような磁場がじわじわと生まれて来るようなイメージなのかな〜。みんなで試行錯誤しながら、不可解なものに挑みます。札幌用に、スノーブーツも買ったので、防寒対策も万全です!

天使館での稽古後、みつたけ君宅で、おしゃべり。

2016 暗黒の旅(1月3日)

(投稿者:西村未奈)

新年あけましておめでとうございます★

山崎チームは、城崎でのレジデンシー後、whenever wherever festival 2015(wwfes 2015)で作品の途中経過発表、森下スタジオにてJCDNで関わって下さる皆さんへの作品見せ、と年末に2回、人前で作品を通す機会を経て、現在に至ります。まだまだリハーサル量も足りず通すのも無理矢理、えいっという力技だったのですが、やっぱり、人前でやってみないとわからないことが多々あるので、広太さんも私たちダンサーも学ぶことがたくさんで、2回のショーイングをやってよかったとつくづく思いました。ショーイング後のフィードバックでは、言葉と踊りの関係性、広太さんが示唆する暗黒、決まった作品性を提示しないという作品の在り方とスキゾフェレニック(分裂性)について、など、作品にたいしてびっくりするほど素晴らしいアドバイスや意見が飛び交いました。そのおかげで、私個人の作品にたいする理解も少し深まったような。暗黒の正体が少しずつでも、みえたらいいな〜。私が思うこの作品における自分のダンサーとしての課題は、ざっくりいうと、自分自身の踊りをもっと打ち出すことかな〜と感じました。振付けの意図を汲もうとしすぎちゃダメなのかなと。広太さんは私の師匠でもあるので、なかなか難しい課題です!でも、少し、振付の意図とはずれたとしても、ダンサーそれぞれが、自分の持つ方向性を強烈に出せば出すほど、スキゾフェレニックの中におけるコミュニュケーションが成り立つのかな〜と勝手にイメージしています。この作品は、札幌、神戸、福岡、東京と巡回しますが、ツアー中にもどんどん変化を遂げると思うので、各劇場限定バージョンを、毎回、大切にしていきたいです!

城崎KIACにて。盟友、JCDNの佐東さんと広太さんの思い出の1枚。

広太さん新年の抱負

文学の街、城崎(11月20日)

(投稿者:山崎広太)

今回の新作、初めてセリフに挑戦。それは城崎にいることなのかわからない。言葉はいろいろなことを暗喩するような言葉。それは実際のムーブメントとと、直接的には関係ない言葉と数々、もちろん言葉の意味性、関連性は通底している。まして僕自身が司会までやってしまう。言葉が時間というよりは空間に点在する心地よさ。ジョンが自身のことを「デザインする演劇」と言ったけど、なんて形容したらいいパフォーマンスなんだろう、でもあくまでダンス。今日は、ある意味強烈な存在性のある身体を試みたら、まったく空白になってしまった。どうしよう。とりあえず、音楽の菅谷さんを歓迎、明日はまた蟹。今までこんなことなかったけど、この前の未奈の新作「セロリの宇宙」に影響されている自分がいる。影響が逆転してしまった。

城崎にて(11月18日)

(投稿者:西村未奈)

KIACでのクリエーションが始まりました!

何もないところから、ふっと、動きを立ち上げていく広太さんは空気の彫刻家のようで、きっと城崎の空気や場所性も、そこには無意識的に刻まれていくのだろうな〜と。

志賀直哉の「城崎にて」を読み返してみたり。

地元の食を探求したり。

広太宇宙から湧き出る言葉や動きが、ここ城崎でどんな世界を構築していくのか楽しみです!