【投稿者 山内朋樹】
これまで札幌、松山、仙台、福岡と各地を巡回してきた《ghosting−軌跡
の庭》ですが、5箇所目の会場は東京です。とはいえ、「ようやく」「つ
いに」というわけではありません。
むしろこれまで同様、巡回公演で訪れる地域のひとつ、会場のひとつとし
ての東京にやってきたつもりです。
会場のアサヒアートスクエアはとても特徴的な形状をしており、演出・振
付の平井、映像・サウンドデザインの古舘を中心に、この場所にあわせて
要素を分解し、つくり直しているところです。この場所のためにつくられ
る新たな《ghosting》を、ぜひみなさまに観ていただければと思っていま
す。
これまでも各会場にあわせて、《ghosting》はつくり変えられてきました。
そこには、空間や音や映像等とのかかわりのなかで、それらにうながされ
るようにして、演出や振付を構成していく平井の特性が強く関与している
と思います。
つまりこの作品は、東京会場という終着点、最終目的を目指したワークイ
ンプログレスではないということです。これまでのあらゆる会場で、その
会場の与件にしたがってその都度、ひとつのかたちをとってきました。東
京は5会場目。またひとつのかたちが与えられることになるでしょう。
ところで、会場のある浅草周辺を歩いていると、基本的には下町で小さい
店舗や住宅が軒を連ねており、これまでの地域同様、魅力ある地方の特色
に溢れています。とりわけ蕎麦や鮨といった「郷土料理」を出す店舗の充
実ぶりは他地域とは比較になりません。ぜひ、この魅惑的な街での新しい
《ghosting》のかたちを体験しに来てください。
【投稿者 山内朋樹】
仙台公演ではこれまでのナラティブで劇的な展開を抑制し、要素も絞られて
スッキリした印象になってきました。とりわけドタバタだったラストは優し
い演出となりました。
この作品を見た仙台の方が、井戸を通じて死者と会話しているようなイメー
ジを抱いたとのことで、震災で亡くなった方々と語りあっている気持ちにな
って嬉しかったと言ってくださいました…言葉がありません。
ありがとうございました!!
【投稿者 山内朋樹】
巡回3公演目の仙台に参りました。
今回のツアー作品では、ghosting、「消えていくもの」をテーマ
に舞台をつくっています。
その意味はさまざまに捉えられるかもしれませんが、ただナラテ
ィブに、ではなく、舞台上で展開される断片的な煙や光、音、詩、
イメージ群を通じて、現れては消えていくもの、いっときしか持
続しない光景を生起させる。こうした感覚を大事にしています。
本日2月13日と明日14日の公演で、本作も巡回3公演目になりま
す。”ghosting”にまつわる連想の広がりにあわせて、舞台の形状
にあわせて、少しずつ変わっていくこの作品
を、ぜひ会場にたしかめに来てください。
【投稿者 平井優子】
城崎国際アートセンター(KIAC)でのクリエーション期間が終了しました。
濃密な時間をメンバーと共に過ごし、作品の感触がじわっと手元に残ってきています。
今回フィンランドから参加のミュージシャンAGFもクリエーションに参加。
私自身は初顔合わせとなりましたが、国は違っても同じ年代の女性としてシンパシーを感じるところが多く、
作品以外にもたくさんの話をしました。
今回生まれたリアルな「感触」というものを言葉やかたちで捩じ曲げ手しまわないよう
「消えていくもの」というテーマのもとで大事に育ててみよう
2015 07.Dec.
【投稿者 山内朋樹】
「遺体の代用物として土に埋められたコロッソスは、死者の似姿を再現しようとするものではない。石が宿し体現しているのは死者の似姿ではなく、あの世に潜んでいる力、夜の世界にある命である。それは昼の世界に住む生者の命に対立する。死者が生きていた者の分身であるのと同様、コロッソスは死者の似姿ではなく、「分身」である」(ジャン=ピエール・ヴェルナン)
【投稿者 山内朋樹】
墓石はただの石。にもかかわらず、それに水を注ぎ、菓子を備え、線香を立て、心のなかでではあれ言葉をかけて手をあわせるのはなぜだろう。これはたんなる社会慣習に過ぎないのだろうか。あるいは不可視のなにものかが「ただの石」を介して立ち上がっているのだろうか。