クリエイションドキュメント [各作品の作品制作の様子を作家・編成メンバー・取材者・共催者が記録していきます]
福岡地元作品『反閇』を終えて。緒方祐香

まず、この場を借りて制作スタッフの皆様、テクニカルスタッフの皆様、地元スタッフの皆様、お客様、アドバイスをくださった皆様、音楽を作ってくれた58chことゴヤマコトくん、美術製作宮田君平さん、そしてダンサーの柴原あゆみさん、菅原さちゑさんに心から、そして腹の底から感謝を申し伝えたいと思います。

応募用紙に書いた『今、この現代に、踊りで植物が育つ、その力を信じれる何かを作り、探りたい。』という、でっかいでっかい目標を掲げ作り出した作品を受け入れ、そして支えてくださり本当に有り難うございました。

正直、今回の作品でその力を確実に信じる事ができるようになった、と言えば嘘っぱちになります。
ただ、信じるかどうかは自分次第だし、当たり前だけど、その為には人間の、踊る身体の高いエネルギーが必要なのは間違いない事はわかりました。
私を含めるたくさんの人がその力をみることができるように、これからも、この作品をどんどん深めて追求していこうと思います。

なんだか宗教家みたいな言葉になってしまいました(笑)

ダンサー2人には、本当に本当に本当に迷惑かけました!!!大人な2人は、舌打ちする事もなくリハーサルに身を投じてくれました。
自分が大事だと思っていること、本当にやりたい事が、色んな事に隠れて見えない、という状況が何度も何度もあり、作っては壊し作っては壊しという作業を何度も繰り返し、しかも、昨日言っている事と今日言っている事が違う、なんて事が日常茶飯事で、本当に苦労をかけました。なのに、いつも真面目に私のやろうとすること、言わんとすることを、流さず丁寧に聞き取り体現しようとし続けてくださいました。本当に有り難うございました。絶対に他のダンサーでは絶対に代わりは効きません!!そんな2人に出会えた事に感謝します。

この、踊りに行くぜ!という機会を与えて頂き作ったこの作品、もっともっと深めて神楽のように何度も何度も踊っていきたいと思っています。
自分の作品ですが100回踊った時にどう変わっているかが、楽しみです。

日本には『反閇』という言葉があります。
ステップを踏むと、そこが清められたり、ステップを使って祈りを神に伝えたり、感謝をつたえたり、はたまた呪ったり。
踏むんです。地を。
そんな言葉が日本にあるんです。

本当に有難うございました!

写真:富永亜紀子

[緒方作品]意見を聞く会
前回の投稿から時が立ち・・・緒方作品も制作過程をなかなかご紹介できないで居ます津田です。
緒方作品も、1か月前から比べると組立てや中身も充実してきています。
そして、おっかけみたいに稽古場に観にいってる私にも(ん、そこまで行ってないか・・・)、
作品にそれなりに思い入れが出てきます。だって、媒体関係送る紹介文を作ったり、
記者さんの取材を見たりしていたら、そりゃ、自分の子じゃないけど、
なかなか執心してくるものです。
その母親(?)目線で見ると、(てか緒方さんも古家さんも同世代なんですよね)
緒方作品は、ダンスっぽくはならなずに、体を移動するという単純な働きかけで、
一貫して全体の表情を変えずに、
向こう側にある、もしくは自分の中にある見えないものに向かって、エネルギーを放出する
その一点にだけ集中したような作品だと私は思っています。
動きは単純だけれども、動きの一つ一つに神楽的な理由づけがあって、歩き回る軌跡にも、
そして向いている方角にも意味があるんです。
その意味とか理由付けが、人間と自然との大事な関わりとなって、エネルギーが作られる・・・
そんな内容になっていると(勝手に)思っています。
が、ただ、まだまだ短調すぎて、緒方さんがやりたいことが分かりにくい気はします。
そこで、本日は、手塚夏子さん(ダンサー・振付家)と、宮原一枝さん(ゼルプスト/ダンサー・
振付家)に作品を見てもらい意見を頂くよう、緒方さんが声をかけて集まって頂きました。
それで・・・作品を観終わって第一声
「長い!!」
・・・20分こぼれるんです。
長いのは、時間的なものもあるかもしれませんが、そう感じる感覚的な理由もあるようです。
あと、手塚さんからは、
「まず、すごくまじめな人たち、修業を始めた人たちにみえてきて、なんてまじめな取り組みをはじめたんだろう・・って思えた(笑)」
・・・なんて正直な手塚さん!
「なんか、衣装は衣装で着てるんだけど、見えない所で内もものあたりに、金粉ぬっとくとか?(笑)そういう真逆の気持ちを実は芯に持ちながらするってのがいい気がする」(宮原さん)
・・・それいい!
・・・冗談はさておき、
作品のざっくりとした構成としては、3人で登場し、しっかりソロがあり、2対1になり、3人でエネルギー放出し、ソロで落としていく・・・という流れです。
この中で、何かしらの振りを削るか、場面を削るか・・・、そもそも何を基準にして削ったらいいのか・・・
でも、緒方さんの中では、ひとつひとつの振りをあまりにいろいろ考えすぎていて、全部の動きが大事で、そして、一つがないと全部が成り立っていかないと感じているようです。
だから、、
「あ~、このダンサー、ここを味わって踊っているな~というものをお客さんとしては見たいと思うので、踊ってる人自身が実感を感じとって、何かが立ち上がってくる感じが起きてるかどうかの基準で考えることだと思う。形を作ったり変えたりするっていうよりは、この速度では実感があるけど、この速度だとなくなるっていうことがあるじゃないですか。どのくらい待てば、どのくらい短ければ、どのくらい腰をおろせば・・とかそういう基準で考えたらどうかな?」(手塚さん)
ふむふむ、
ダンサーの実感が持てる箇所を優先する形で、残していく・・・
ふむふむ。
それが、難しいのでしょうね・・・
「振りとしてはコンテンポラリーにみる振りだな、と感じるところはある、どこからどこまでとかは言えないけど。逆に、踊ってしまわないようにしようという真面目さも感じるから、その二つのどっちかに触れないと、ちょうど真ん中だと結構まじめにやってる人にみたいにみえちゃう。本当に踊ってしまわない方向っていうのは、何か別の価値がそこにあるとお客さんは思うし、その価値が実際に見てる人とのコミュニケーションで見えるかだと思う」(手塚さん)
「練習というよりも、間合いとかの詰め方、身体のおとしとかで、全然見え方が違うので、自分が入った中でもそれを探る作業が重要じゃないかな。エネルギーの流れを見せたいのはわかるけど、
尺とか動きの質とかよりも、つくりこむというより意識の流れに集中していれば、エネルギーがきっちり流れていくんだろうけど、今、みんなそこを探り合ってるから、滞ってる。」(宮原さん)
などと、まだまだ的確なご助言が続きました。
さすが、大先輩です。
さて、今後の緒方さんの変革が期待されます。。なんて、ハードル上げてもいけないので、
らしさ全開で、突っ走るのみ!!
[古家作品]真吉衣装で踊る
福岡・制作の津田です。
ご無沙汰している間に、神戸公演も終わり(しかも満席!!)
各地、好評の噂を聞くたびに焦るのは私だけ・・ではないと思います。
そんな中、古家さんはマイペースです。(いや、彼女はマイペースにみえるだけですね。)
本日は照明さんとの打合せのため、真吉さんだけ衣装です。
白いこの衣装は前回「ハートマン」第1弾と同じ衣裳なのですが、
手掛けて頂いているのは、プロジェクト大山のあのキャッチーな青い衣装を手掛けた
坂本千代さんです。千代さんなら安心・・というほど、古家さんは彼女を信頼してるようです。
真吉さんだけ白だと、ちょっとアンバランスな感じです・・・
今回はプロジェクト大山を抜け出して新たなメンバーと作る作品です。
とはいっても、やはり古家ワールド。振りの一つ一つがコミカルな印象があります。
世界観は、ハートマンですから、大山作品とはがらっと変わっていて
母親の心臓の鼓動を羊水の中で聞くようでもあり
何かが生まれることへの讃美踊のようでもあり
両耳をぎゅーっと両手でおさえて、自分の内面に向かうようなそんな感じです。
カウントダウンはあと4日間。
キーワードは「集中」。
【緒方作品】ビデオ撮影会
福岡公演、制作の津田です。
さて福岡公演まで1か月をきりました。
福岡Cプロの2作品の稽古もこれから大詰めです。
2/14緒方チームのビデオ撮影会に立ち合いました。
急にぐぐっと寒くなったバレンタインデーの夜。
2月の大商戦で大型百貨店の地下食品街が活気づく中、チーム緒方はパピオの地下でもくもくとお稽古です。
同じ地下空間とは思えない・・・
こちらの地下も熱いは熱いです。
緒方作品のタイトルは、「反閇」。
「ヘンバイ」・・・?
はて?と思う方も多いと思います。
作品を観るときに、前情報として意味とか由来とかから入る私は、早速、辞書検索。
「陰陽道や密教の呪術を実践するときおこなう歩行法」ですと。
それに私は、見ながら、一つ一つの振りの意味が気になったり、フォーメーションの理由の詮索をしたり・・・
緒方作品は、「現代(いま)の神楽を舞う」としています。
構成や振付の由来や意味をこっそり教えてもらうと、へえ~っと思う事が多々あります。
ただ、
見る方にあまり前情報は入れたくないと本人は言っているので、内容を詳しくは書きませんが
「緒方版神楽」と言っておきます。
昔の人たちは踊りを通して祈り、踊る理由や意味があって踊ってきたのだけれど、
緒方さんの作る踊りは、同じ神々に祈る踊りではありながら、意味を重視して踊るのではなく、
踊ってたら、そして見てたら意味が生まれてきたというのを目指しているような気がしました。
年末の途中経過報告会の時よりも、振付も構成もぐぐっと作りこまれていて、期待大。
とかいう事を私が書いていいものか・・。
来週は古家作品のご報告を致します。
クリエイションのドキュメントとして・・
さてさて、、福岡公演のチラシは、各地と比べてわりと明るめのが出来ています!
これもクリエイションのドキュメントとして↓↓↓
アップロードっと・・・
緒方作品『反閇(へんばい)』ダンサーの紹介Ⅱ

久しぶりの登校になってしまいました。
福岡地元作品振付の緒方です。

スタッフや関係者に向けた中間発表を終え、その後バタバタと忙しい日々に追われるなか、色々な貴重な言葉(作品を成長させてくれるであろう言葉)に出会う事ができました。
稽古を通して、その言葉の意味を考え、模索し、と絶賛頭が爆発中です。
踊る事によって、その場が変わらなければならない。雰囲気とかじゃなくて。

さて、前回はダンサーの柴原あゆみさんの事を紹介しました。
今回は菅原さちゑさん(さっちゃん)の紹介をしたいと思います。

さっちゃんとは、かれこれ10年程一緒に踊っています。
私の師匠菊地尚子さんのスタジオで苦楽を共にした同士であり、私がとても尊敬するダンサーでもあり、振付家でもあります。

さっちゃんがきちんと踊り始めたのは、なんと約11年前!!!(去年、『ダンス歴が待望の2桁になった!』と本気で喜んでいた。)
さっちゃんは自分の事はあまり喋りませんが、この11年間は努力努力の連続だっただろうな、と思います。子供の頃から踊り続けている面々の中で、カンパニーを引っ張るダンサーにまでなっている。

もともと、とーーーーっても雰囲気のあるダンサーで私は10年前に『踊り心があるっちゅうのはこういう事か』と、心の中の私ペディアに記録したのを覚えています。さっちゃんが、舞台に揺るぎなく立ち、どこかを見るだけで、周りの情景がブワッと色づくのです。

実はさっちゃんは埼玉在住ですが、今回ワガママを言ってクリエイションのため何度も福岡に長期滞在してくれクリエイションに参加してくれています。スケジュールの組み立てや、交通費、などなど大変な事はありますが、そこまでしても、さっちゃんに出てほしかった!!!
あゆみさんもそうですが、自分が尊敬するダンサーとこの作品を作りたかったのです。

つづく

福岡よりこんばんわ

初投稿です、こんばんわ。
古家です。
踊りに行くぜ、プロジェクト大山での2007年(だったかしら??)参加以来です!!!
24、5歳だったもんな…ブルマはいて踊ってたもんな…(それは今でも太もも出して踊ってますが笑)

さてさて、今回の作品は 福岡のダンサーズとのクリエーション第二弾。

まさきちさん もってぃ と 踊らせていただきます。

福岡でこうして 継続してクリエーションをしていけることが何よりのことなのです。

プロジェクト大山メンバーとは もう13年?の付き合いで、私のスマートとはいえないやりかたにも慣れていただいとりますが、今回のお二人は2回目とはいえ、先の見えないリハに不安を抱いているだろうなぁとおもいつつ、マイペースに創作を行っております…笑

毎度、うちのおチビちゃんに妨害されながらのリハですが、焦らずジワジワとつくっていきたいです。

【緒方作品】はじめまして!そして稽古第一回目。

はじめまして!

この度『踊りに行くぜ!Ⅱ』の福岡地元枠で作品を作らせて頂く事になりました、緒方祐香と申します。
自己紹介はゆっくりさせて頂きたいなぁ!と思っております。

遅いスタートではありますが、いよいよダンサーとのクリエイションがはじまりました。
今回は10年間一緒に踊っている菅原さちゑさんと今回初めて一緒に踊る柴原あゆみさんの2人が出演してくれます。

第一回目の稽古は柴原あゆみさんとの2人での稽古から。
まずはお互いの動きを共有するような事からはじめました。

そもそも柴原あゆみさんにお願いした理由は、あゆみさんの土くさーい(土着的な)嘘がない踊りに惚れたからです。

神楽の舞手のように淡々とでも脈々と受け継がれたものが確実にその身体に宿って身体を動かし、その場にまた新しいものを生んでいく事実を舞台に載せたく、稽古をはじました。

あゆみさんの踊りはまさにそんな私の作品を現実のものにしてくれそうな踊りです。

つづく。