この作品の案が私の中に生まれたのは,数年前です.

作品というものは,実現されるとう機会が与えられてから,育って発展していくもので,今回,水野さん,JCDNのお陰で具体化できる.というのと同時に、数年前にスタジオ作品、31shots として作ったトリオのコンセプト(犯罪/朽ちる体/ゲーム)を発展させたいなと思って,まず,タイトルを変えて、構成,内容を練り直したわけです.そこでの内容が納得いかなかったので再度の試行錯誤が必要だなと思ったのです.

31個のグラフィックの勉強の為の形の練習を身体表現に起きかえて,私の身体用語として始めて大分経ちます.もともと形を作って繋いでいくという振り付けダンスアートをやるには,基礎のバレエとかモダンテクニックを持ってないのでそれはNG. 自分の世界を絶対化,確立化,システム化するという オリジナル性を踏まえ,同時に、<個>の重視です.海外での個性の確立は,どうアート社会と関わっていくかですが,自分を立証させて意見を言うという知性が必要になってます.個人の夢や幻覚や狂気の舞台上での反映は、その時代にその作家が生き延びる事も含めてなにを抽出していくかです.

というわけで,このテーマは犯罪を直接扱って、劇にしていく物ではありません.その,情況においての人の心理だとか,反応だとか,心理的な危機感をパフォーマンス性の強い形で演出したいのです.

私の興味と必要性によってパフォーマンス案ができます.生き延びるため=創作
この職業を全うする為の私にとっての転換期であると同時に、私の日本を確認したいので,日本での活動を今後できる限り続行できたらいいなと思ってます.

えーと.詳しい、課題や創作の材料はまた,出演者との直のコンタクトでスタジオ入りして創作するまで送られると思いますので,よろしくどうぞ.

以下はオリジナルコンセプトの抜粋:

.......大事な点は芝居的に提示するのではなく,それを敢えて避けて、パフォーマンスとしてのコンセプトを背景にして,個人が芝居の空間で自己を捧げて自分を失うような没頭型の表現者になるのではく,出来事と自分を客観的に距離を於いて眺めるという、現実の場での認識を必要とします。他者,社会の出来事との関わりへの自意識を強化したいと思います。

創作に関しては,言うまでもなく,SOSは危機状態で我々の魂を救って!という懇願ですので,作品のテーマは危機においての本能と知性の咄嗟の反応や感情の状態の描写を試みたいのです。特に本能や感覚的な察知がどう働くだろうかとかです。危機状態での目的のある明確な動機と対処,感情的なことをまず浮き彫りにして見たい。理由があるから、何かが起こったので動くという 行動の原理を探り、必然の相互関係を見いだしていきます。

<観客の為に死ぬ,死ぬ事を美味く演じることではなくー死に至る過程とそれに遭ってしまった他者としての自己を扱うのですー これは摩訶不思議なアートの旅>としての作品です。

救いが必要な災難,SOS状態でも笑う余地がある人間のユーモア性を取り上げていきたいと思います。悲劇の喜劇の共有。これはモラル的にも難しい壁にぶつかるテーマでもありますので,繊細に創っていきたいと思います。いろんな意味に取れる表面的でキッチュな要素を入れた解釈を取り入れます。同時に個人としての自意識や存在感の度合いも大事なことなので,さらに次の項目を活動の糧とし,参加者とコラボレーションしていきたいと思います。

<個の発見ー生物としての身体と声> パソコン時代に入ってからの生活様式・形態の変化は顕著です。チャット通信に加入することにより,他人の脳を覗き見できるような世の中,画像も水を飲む様印象付けられる暇もないまま,ごく当たり前の現象として早い情報がさらさら流れていき消えていくの繰り返し。其の中で結局は人として生物とてどこまで本能や直感を修復できるか? 

<アート&コミュニケーション> 結局,個として自己主張しにくい日本で,いかにその解放のための場が必要であり,自由という観念が単にストレスからの解放ではないという機会がもっと必要な気がします。伝統ではない時代精神=今を歩む文化は必要不可欠です。<自己の立場を露にし、顕す>とは時代の推移とその現実を熟知し、検証し、自己を掘り下げていく行為そのものです、各人が5感を振るわせて表現し,自意識が確立されてこそ第3者との対話が可能です。世界的な政治的背景の深刻な実態に不安を抱く我々、そんな中で、主義主張というイズムはでてませんが、表現の氾濫が続いてます。そこで各人が何を表現し,問題意識を持つのかと、一度は大きな責任感と使命を持てないものでしょうか。そしてその後,その各人が自分に留まらず社会,地域に広がるまでの通り道が必要なんじゃないかなと思います。

<サブカルチャー> 錯綜とした現代を理解し現代社会におけるアートの意味を考えて、各人の創造力をさらに飛躍させるための環境づくりを行うこサブカルチャーの活性化は必要不可欠だと思います。今の時代のアート作品の領域はいろんなジャンルがクロスオーバーしたハイブリッド=混合になってます。異なったジャンル同士の関連や、既存の価値観や枠組みにとらわれない自由な発想はこの社会の多様性を映し出し、アートは現代文化にかかわる種々の領域の問題に対し、あたらしい発想・発見を生み出していくような方向性がなされないのかと思います。

written by A.T.