大道具、といってもセットではないのですが
大きめの道具をつくってくれる、ゆうじさん と材料下見に行き、打ち合わせしました。

東北沢にある、古道具屋さんを物色し、
わたしがスケッチしたものに、合うものがないか、探しました。

どんよりした曇りが、完璧な晴れに変わって、とてもよい気分でした。
古道具屋のさまざまな家具、古い木の色は、不思議と、空の色に映えるんですね。

ちょうど良いものがあれば、購入するつもりでしたが、
やはり、ぴったりというものはなく、
見た物を参考に、その後、ゆうじさんと話して、
すべて、独自に制作することにしました。

木曜日から、家具の工場で、ゆうじさんの手によってつくられます。

ゆうじさんは、本業は、造形作家です。家具などをつくっています。

3年ほど前に、美術展の仕事で、陶器のオブジェを加工する必要がでたとき、
ゆうじさんに、お世話になりました。
陶器に穴を空けるためのやり方を、教えていただいたりしていました。

偶然にも、今年になって、ゆうじさんご自身も、
ダンス舞台の道具をつくることがあり
それがきっかけになって、ダンス自体にも少し興味が湧かれたようです。

道を歩いていて、「あ、あの家、いい感じですね。」と言われた方を見上げると
長く大切にされてきたであろう風情のある家が見えます。
古き良き感じを残しながら、ちゃんと補修の後がある家です。
ゆうじさんの持つ、あたたかいセンスが感じられる瞬間です。

打ち合わせ中に、
「大道具って、どこまでの精度でつくるべきですか」
と、質問をうけて、なるほど、と思いました。

家具の感覚でつくると、木目や仕上げのツヤ感にも当然、精度が要求されます。
そして、一度つくったものを、数回の公演後に壊す、ということも、
家具ではありえません。

舞台では、おそらく、細かな木目までは見えないです。しかし、
「僕はやはり家具屋なんで、、道具、つくるとしたら、
 公演後にも、だれかの家で使えたりするものが、いいかなと思って」

と、言われ、これは新しいな、と思いました。
すごく、よい意見だとも思います。

私もそうですが、異分野のひとびとが、ダンスの舞台に関わると、
あたらめて、ダンスや舞台が客観視されて、新しい見解がうまれるので、
その新しさが、やはりおもしろいのだと思います。

あと、生活と地続きの表現というのもいいし、
舞台で使った道具が、ひとつ、ひとつ、
生活の現場に還元されていく風景も、ちょっといいなと思いました。

そう、作品には、家族のつかう、家具が道具で出てきます。
どんな道具が登場するか。きっと、あたたかみがある、ちょっとステキな一品だと思います。
待っていてください。