「とりっとダンス」メンバー みきさんより。
「カナリア S」を見ての感想。

踊りの先に見えてくるものは何か。
ダンサーの動きを見て、その動きが象徴するイメージを予想する。
次の瞬間、観客である自分が思った動きとダンサーの動きが一致した時、予定調和のようになった時、それは喜びである。
しかし、それは自分の想いがダンサーと一致しただけのことであり、観客としての満足度は半分であろう。
予定調和されない次のイメージがほしいのである。
観客に考えさせること、立ち止まらせることの時間をつくらせること。

狂気・病理・暴力性などと言葉にしてしまえば、人間の都市生活での苦悩や生き様を表しているように思える。
そう、一見、現代の「東京」と言う都市を思わせるが、それはどこにでもある、頭の中で空想できる都市空間でもある。
舞台には仮想的な現実が広がっている。そこで、もがきながら、欲望を満たしながら生きている生活がある。

地下鉄の音が聞こえる。現実の世界が開ける。私の存在を私が捕まえる。
仮想現実、無機質な世界から目覚めていく。
鳥かごの「カナリア」は私ではなく、「わたしは私」と静かな叫びが地下鉄にこだまする。

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みきさんは本当に味わい深い言葉、文章を書かれる方だなあと思います。
作品中で「言葉!!」と叫んでいらしたのがとても印象的でした。
本当にありがとうございました!